不登校の初期対応 完全マニュアル

2021年11月7日

こんにちは。公認心理師の野良猫です。

僕の経歴です。大学院で学校臨床心理学を学び、特別支援学校、高等学校での勤務を経て、公認心理師資格を取得。児童福祉施設の心理職として勤務しています。

この経験から、Twitterでも不登校支援について発信しています。Twitterでは、不登校の当事者や保護者の方に沢山のご意見をいただいています。

今回は、これまでの学びをまとめて、不登校支援のマニュアルを作ることにしました。作成後も新しい情報があれば、どんどん更新する予定です。

また、このブログでは、教育心理学や臨床心理学のことを記事にしています。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

さて、本題に入りましょう!

不登校とは

これを知らないことには始まりません。不登校とは何か。文部科学省の定義では、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」とされています。初めて定義されたのは1992年で、それまでは不登校という言葉はありませんでした。

その後、不登校に関係する報道などが増え、一気に認知度が高まりました。現在では、研究により不登校はあらゆる不適応との関連が示されていることから、心理的な支援が必要な状況として捉えられています。

不登校が及ぼす影響

不登校では、全般的に社会性スキルが低くなる傾向があります。精神的発達が遅れるとも言われています。また、情緒不安定、生活習慣の乱れ、それに伴う不健康もあります。

また、イジメによる不登校は、抑うつ、自傷行為、希死念慮、自殺企画、自殺など、深刻なリスクがあります。

身体的な暴力、自分の持ち物が壊されたり汚されたりする行為は、急性ストレス障害やPTSDにも繋がります。尊厳が傷つけられると、不登校状態を脱したあとも自己否定的な考え方が癖になり、生きづらさが残ってしまいます。

子どもだけの問題ではなく、家庭にも様々な影響があると考えられます。例えば、子どもの状態によっては、通院や見守りが必要となり、仕事に行けなくなったり、子どもとの不和にもなりやすく、家族成員が抑うつ状態になってしまうこともあります。

社会で生き抜くために

どの原因による不登校でも、考慮するべきは「社会でやっていけるか」です。不登校になって、適応指導教室やフリースクールにも行かず、家庭でも勉強しない状況では、進学や就職が厳しくなります。しかし、方法がないわけではありません。

例えば、知り合いに頼んで仕事を貰ったり、パソコンに詳しくなってウェブ系の仕事をしたり、YouTubeやブログで稼いだりすることもできます。今の社会は、何も高校や大学に行くことが全てではありません。

■しかしながら、生きていくため、稼ぐためには努力が必要です。高校や大学の大きな意味は、稼ぐ力をつけることだと思っています。知識、体力、社会性、資格などは、稼ぐための基礎力になります。その意味で、僕は「どんな形でもいいから外に出てみてほしい」と思っています。

不登校の初期対応マニュアル

不登校の対応といっても、小学校・中学校、高等学校では、学校のシステムが異なるので、対応も異なります。ですから、今回は小中学生と高校生を分けて解説しています。

それぞれ内部リンクを貼りますので、クリックして読んでみてください(↓)。さらにマニュアルの後に不登校対応の注意点を記載しています。それも読んでほしいです。

小・中学校での不登校 初期対応マニュアル

◇高等学校での不登校 初期対応マニュアル

【注意点】学校との連携を

不登校になった際、「学校の対応が良くない」と学校との連携を断ってしまう保護者の方がいます。お気持ちは分かりますが、得策ではありません。

再登校するにも、適応指導教室の紹介を受けるのにも、転校や編入の手続きにも連携が必要です。また、適応指導教室やフリースクールにおいて出席扱いにするのにも連携が必要です。その時の衝動的な感情で学校を敵視することはリスクが大きいと言えます。

■一方、冷静に考えても学校側に否がある場合もあります。教員の行き過ぎた指導や学校がイジメの対応をしなかったなどです。こうした場合、まず校長に情報開示を請求しましょう。勿論、個人情報の関係で、情報を得ることはできませんが、校長の対応から誠意があるか判断できますし、保護者が動くという牽制、意思表示になります。一番、効果的なのは弁護士に相談することです。教員の暴行や心身を傷つけるイジメは、犯罪として扱うことができるので、警察に被害届を出すことを弁護士と検討してください。

最後に

いかがでしたか?

かなりのボリュームになってしまいました。不登校は、原因も様々で、子どもの状況・状態に応じた支援が必要だと思っています。初期的な対応は、この記事のとおりだと思いますが、中期、後期の対応については、支援体制を整えて、そのチームで考えていく必要があります。

カウンセリングや学習支援、進路支援については、力になれると思いますので、ぜひ問い合わせからご質問いただければと思います。また、このマニュアルは、僕の支援力の向上とともにアップデートしていく予定です。


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Posted by Cozy