【保護者向け】助けを求められる子どもに!【援助要請という概念】
こんにちは。中津です。
教育心理学の領域において、援助要請という概念があります。今回は、この援助要請についてお話します。子どもが大人になり、社会に出ていく上で、大切なスキルです。ぜひ、意識して教えてあげてください。
援助要請とは
援助要請とは、簡単にいえば「助けを求めること」です。この援助要請は、3つのスタイルに分けられています。
◆援助要請 回避型
回避型は、困ってどうしようもない状況でも援助要請をしない、できないスタイルです。性格的に話しかけるのが苦手だったり、何でも一人で解決したかったりする人が当てはまります。
上手く解決できればいいのですが、解決できない場合もあって、精神的負担が大きくなってしまいます。その意味では、あまり適応的とは言えません。
◆援助要請 過剰型
過剰型は、ちょっと困っただけでも、すぐに助けを求めます。不安の強い人や完璧主義で細かいことまで質問したい人などが当てはまります。頻度が多すぎると、周りの人は嫌がってしまいます。また、頼りすぎてしまうと考える機会が減り、自分の成長にもなりません。
◆援助要請 自立型
自立型は、困ったときに、ある程度は自分で考えて、それでもダメだったら助けを求めます。自分で考える癖ついていて、状況を判断して、助けを求められるコミュニケーション力も持っています。学習の場面で考えると、これが最も適応的だと言われています。
援助要請は状況に応じて
援助要請ができるというのは、危険が伴うときなど、ここぞというときに重要です。
社会人になれば、報連相が鉄則です。自分の判断だけで動いていては、組織では生きていけません。ちょっと疑問に思ったら、上司に聞くというくらいで丁度いいです。仕事では失敗が許されない場合もあります。こういった場合は、すぐに助けを求めることが必要とされます。
一方、それほど失敗を恐れなくていい場面で、あれこれ付きまとわれては、仕事になりません。性格的に細かすぎる人もいます。自分で考えてくれと思うこともありますよね。
このように援助要請の仕方を状況に応じて見定められることが重要になってきます。
どう身につけるか
普段から経験させましょう。料理の手伝いや部屋の掃除などでいいと思います。時々、「考えてやってごらん」と支援をせずに見守ってみてください。失敗できるうちに沢山の失敗をしておくといいと思います。また、高校生くらいではアルバイトで社会経験をさせてあげるのも有効だと思います。アルバイトが無理なら、自営業の知り合いの手伝いに行かせるとかボランティアでもいいと思います。
あと、助けの求め方を練習するのも効果的です。色んな場面を想定して、この場面はこうするといいよ、など保護者の方が経験から教えてあげられることを伝えてあげてください。
何となくでも、社会人の難しさのようなことを伝えられて、その対策が練られるだけでも、子どもにとっては新鮮で、気をつけようと思えるはずです。
重要場面の援助要請
例えば、イジメや心の不調があるときです。教員や親に言い出せずに、黙ったまま深刻なダメージを受ける子がいます。子どもなりにSOSを出しているかもしれませんが、深刻さが伝わらないことには、大人は気づきません。
よく僕が提案するのは、親子で「限界」や「助けて」の合図を決めておいてくださいということです。例えば、子どもが「○○くんが意地悪した」と言っても伝わりづらいですが、「もう無理」とはっきり合図してくれれば、分かりますよね。これをあらかじめ決めておいてください。
あと、「嫌な想いをしたときは話してね」などタイミングまで、示してあげるといいでしょう。中高生くらいでは、あまり現実的じゃないかもしれませんが、小学生から習慣づけて、保護者が味方してくれる、迷惑に感じない、ということが伝えられたらよいです。
一番、こわいのは自死です。保護者が知らないうちに限界を迎えてしまうのは、保護者の方にとって最も辛いことだと思います。何としてでもそれだけは、防ぎたいです。
最後に
最初は、あまり深刻に書かないつもりでしたが、筆が進んでしまいました。でも、不登校でいえば、子どもがSOSを出せないケースはよくあるので、本当によく見ておかないといけません。子どもの方から「限界」と言ってくれることは、不幸中の幸いです。うつ病などは、子どもにとっては凄まじい辛さだと思います。
援助要請をぜひ教えてあげてください。