なぜ不登校は親のせいと言われるのか

2021年6月14日

今回は、「なぜ不登校は親のせい言われるのか」というテーマでお話したいと思います。

不登校は親のせいなのか

結論から言うと、「ほとんどの場合は、親のせいじゃありませんが、親のせいの場合もあります。」と言っておきます。そう言うと、否定したい保護者の方がいると思います。ですが、全く親のせいじゃないというのも間違いです。これは、不登校の原因によります。

親のせいじゃない場合

不登校の原因で多いのは、無気力・不安、イジメ以外の友人関係です。無気力・不安の場合は、子どもの特性や知的能力、興味に左右されることも大きく、親が悪いという考えは否定することができます。友人関係については、友人との相性やコミュニケーションの齟齬が要因にあるので、これも親のせいとは言えません。また、子どもの心の問題や病気、イジメなどの原因においても親のせいないことは明らかです。

そもそも親は、乳幼児から育児をして、仕事や家事をして、一生懸命に家庭教育をされています。そして、子どもは幼稚園や学校で多くの時間を過ごすわけです。そういった家庭以外の環境の影響はとても大きいです。この意味でも、不登校を一生懸命に育児されてきた親のせいとは語れません。しかしながら、中には親のせいとしか言えない場合もあります。

親のせいである場合

不登校の3番目に多い原因は、親子関係です。これは複雑な場合が多く、子どもの話から聞き取ると、「親のせい」と思わざるを得ない状況がわかることがあります。例えば、親の過干渉、過保護、虐待、育児放棄などです。このような親は、世間では「毒親」と言われたりします。

毒親は、子どもの意識決定を奪います。子どもは親の言いなりになり、言うことを聞かないと、虐待を受けます。ここで言う虐待は、身体的な暴力だけではありません。暴言や精神的に追い詰めるような発言をいう心理的虐待が虐待の中でも最も多いです。中には、親に自覚がない場合もあります。虐待の多い順にいうと、心理的虐待、身体的虐待、ネグレクト(育児放棄)、性的虐待です。

不登校に至るケースでは、主に心理的虐待とネグレクトが多いです。心理的虐待やネグレクトでは、子どもの登校にかかる心の余裕がなくなり、不登校に至ります。親からの心理的な圧力により、不登校だけでなく自傷や非行といった自他への破壊行動が起こることもあります。また、ネグレクトでは病院に行かせない、学校に行かせないというものも、ネグレクト(育児放棄)になります。教員が家庭訪問をすると、親はおらず、家はぐちゃぐちゃ、食事もお金も用意されず、ただ兄弟で遊んでいるという家庭があったりもします。おそらく子どもは、危機感を感じていなかったというケースもあります。

このような不登校は、残念ながら、親のせいと言うほかありません。こうした子どもたちも、不登校の支援に繋がり、親のカウンセリングを行ったり、親が福祉支援に応じる場合は、まだ救われます。でも、最悪は、親が逮捕されたり、失踪したりします。この場合は、児童養護施設で子どもたちは保護されることになります。

支援に繋がった親は、涙を流しながら、自分の問題や育児の辛さを話します。このような親は、自身の心の問題が背景にあり、それが緩和されることで、家庭の機能を取り戻すこともあります。これは、教員も支援施設の職員も苦しさを抱えることになります。誰も得をしない出来事です。

不登校は親のせいか?

上述の2つの視点で考えただけでも、親を責める必要がないことがわかります。虐待が行われた場合、親には罪があります。これは理解し、親自身に変わってほしいと切に願います。一方で、親の苦しさもよく理解できます。理不尽な離婚、DV、望まない妊娠、など親には、虐待に至る明らかな理由がある場合があります。

これを「親のせい」で片付けてしまうのは、思考の放棄です。こうした社会問題は、誰が被害に遭うかわかりません。常に考え続けていく必要があります。

事例の紹介(フィクション)

特別支援学校のケースを紹介します。母親のみで重度の知的障害を持つ子どもを抱えているご家庭です。母親は、学校への要求が強く、教育の内容を超える支援を要求することがありました。母親と子どもは、どこか共依存のような強い絆で結ばれていました。その母親は、福祉の支援サービスを利用して、家の中でも支援を受けていました。ところが福祉施設の支援員とトラブルになり、学校が間に入り、支援会議が実施されます。

母親は、初めは攻撃的な姿勢を見せましたが、ある教員の「お母さんの子どもを想う気持ちは素晴らしいです。」という言葉のあと、涙を流し、自身がカウンセリングを受けることを受容しました。そして、その場で、この涙の背景が語られました。父親と離婚した理由です。子どもができて、その勢いで結婚したそうです。初めはご両親も父親も喜び、幸せが想像できたそうです。しかし、子どもが3歳を迎える頃、検診にて自閉症であることが診断されます。それから父親の態度が一変し、父親方の祖父に離婚を迫られたそうです。その結果、離婚し、子どもは福祉サービスを受け、母親は必死に働いたそうですが、子どもは夜は寝ずに遊び続け、排便や入浴、食事の介助も必要なため、子どもの身体が大きくなるにつれ、限界を迎えたそうです。

このケースは、たまたま支援に繋がりましたが、最悪の結果を迎えることも想像できる深刻な状態でした。直接、不登校と繋げることはできませんが、親の心の問題には、それなりの背景があることを知っていただきたいと思います。

最後に

事例は、僕が作成した完全なフィクションです。しかしながら、特別支援学校では、少なくないケースのようです。ただ、皆さまには、子どもへの愛情を再度、思い起こしていただき、自覚していない心理的虐待がないか、考えてみてください。親の些細な小言が子どもを苦しめている場合もあります。ぜひ、親子は仲良くいてほしいと思います。

◆厚生労働省の虐待相談(↓)

相談ダイヤル189 参考公式ホームページ

厚生労働省 

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不登校,臨床心理学

Posted by Cozy