【保護者向け】小学生の場面緘黙症(選択性緘黙)における心配事

2020年12月26日

こんにちは。中津です。

場面緘黙症は、幼児期に発症することが多く、神戸市で行われた大規模調査では、小学生段階での発症率は0.2%ほどとされています。また、別の報告では、1〜5%とされていることもあります。

しかし、中には、知的障害によって発話がないケースもあるため、専門家が明確に分類したとされる「0.2%ほど」の方が信頼性は高いかもしれません。

■これは、あくまで診断の基準に沿うかどうかの話で、本質ではありません。本題に入りましょう。

小学生の場面緘黙症における心配事

幼児期において、場面緘黙症の診断がついた子や疑いのある子は、既に経験しているかもしれませんが、確認の意味でも読んでみてください。

トイレの失敗

小学生になると、活動時間が長くなって、トイレに行く時間が限られてしまいます。場面緘黙症で話せない、言い出せない、不安が強くてトイレに行くタイミングを逃し、失敗してしまう子がいます。

からかわれたりすると、学校に行くのがこわくなってしまいます。あらかじめ、担任の先生に話をしておき、慣れるまでは、「トイレに行かなくて大丈夫?」など、声をかけてもらうようお願いしてみましょう。

もし、失敗してもいいように、着替えを持たせてあげてもいいでしょう。周りの子どもにバレなければ、まだ大事になりません。

注目されることが増える

2年生になると、算数の九九のテストがある学校も多いでしょう。一人ずつ九九を読み上げたりします。また、発表したり、グループワークをしたりする機会が増えます。

この注目されることは、最も不安や恐怖を感じるようです。子どもの状態を把握して、不安が強いようであれば、先生のお願いして、発表は当てないように配慮してもらいましょう。

先生としても保護者としても、話す練習をさせたい気持ちは分かりますが、下手をすると不登校や対人恐怖症まで至ることがあります。また、小学生でも、大きなストレスに晒されたり、ストレスが長期化したりすると、うつ病になることもあります。

「話す練習をする」という本人の意思が固まらない段階では、できる限りリスクは避けるほうがよいでしょう。

授業についていけない

4年生くらいから、学力の差が開いてきます。場面緘黙症の子は、わからない問題があっても質問できません。ちょっとした差ですが、わからないまま放置することが多くなると、中学生くらいで、凄く差が出ます。

理科の実験、体育や音楽といった声が必要になる授業では、ずっと心の負担を抱えながら、授業時間を堪えることになります。大人からすると、想像しづらいですが、当事者の子にしてみると、むちゃくちゃ長い時間に感じることでしょう。

これも配慮としては、無理強いしないことが大切です。友達や教員がサポートしてくれると、嫌な時間が短く感じるでしょう。本当にその場に居られない場合は、その時間だけ特別支援学級や保健室での学習を認めてもらうという支援も必要になってきます。

■教員にお願いしたいのは、話せないことで、成績を下げたり、罰を与えないでほしいということです。頑張ればできるというものではないからです。不安と聞くと、「不安は誰にでもある」と思う方もいらっしゃることと思いますが、場面緘黙症の子たちが抱える不安は、我々が意味する不安より遥かに苦しいものだと理解してください。恐怖に近いものです。

イジメに遭いやすい

場面緘黙症の子たちは、何をされても、その場で言い返すことができませんし、先生に助けを求めることができません。家でなら普通に話せる子であっても、イジメを受けていることは、親には知られたくないものです。

定期的に担任の先生と手紙を交換したり、相談しやすい環境を整えてあげる必要があります。担任の先生の負担になりすぎないように、保護者の方も協力してあげてください。

友達が作れない

場面緘黙症の子たちは、意思表示が苦手です。声が出せなくても、非言語での表情が豊かな子もいて、人気が出る場合もありますが、基本的には自分から関わりにいくことが難しいです。

しかしながら、場面緘黙症の子は、LINEやメール、SNSでは自己表現をすることができます。小学生にスマホを自由に使わせるのは、こわいかもしれませんが、ルールを設けた上で、場面緘黙症のコミュニティから歳の近い子と交流したりすることも可能です。

最後に

簡単に思いつくことを書きましたが、他にも困り事はあると思います。僕も当事者ではないので、知識不足のところがあります。ですので、場面緘黙症のコミュニティに入ることをおすすめします。同じ悩みを持つ方たちと交流して、情報収集をしてみてください。

コミュニティについて、以前の記事でも書いていますので、参考にしてください。(↓)