常同運動障害【公認心理師試験対策】

2021年10月6日

常同運動障害

常同運動障害(SMD:Stereotypic Mobement Disorder)は、乳幼児にみられる駆り立てられるように無意味な行動を繰り返す障害です。抜毛症や皮膚むしり症などの強迫性障害による繰り返し行動ではなく、精神的ストレスなどに起因する常同行為です。

認知症や脳損傷による常同行動は、それらとまとめて診断されるため、常同行動障害とは診断されません。また、認知症や脳損傷による常同行動は、年齢的にも診断基準には含まれません。

下記の診断基準にあるように神経発達症(知的能力障害など)では上手く説明できないとされています。つまり、知的能力障害の子どもが頭を叩いたりする常同行動は、常同運動障害とは診断されません。あくまで知的能力障害の一つの症状として扱われます。

おおよその診断は、自閉症スペクトラムや知的能力障害がない小児で、頭を叩くなどの常同行動がある場合に診断されます。

これまでの報告では、孤児院や乳児院の1歳〜2歳の子どもに発現しやすいとされています。日本の乳児院では、1976年の児童福祉法の改定により、各乳児院の人員が増加されたため、孤児との関わりが増加したことで常同運動障害の発現率は低下したと考える研究者もいます。

常同行動は、頭を叩く、頭を打ちつける、身体を叩く、指しゃぶりまで様々です。しかしながら、支援員との触れ合いやぬいぐるみを抱いているときなどは、常同行動が現れにくいとの報告もあり、安心感が常同行動に影響を与えていると考えられています。

なお、自傷を伴わない常同運動は、乳幼児にみられる無意味な運動として、発達上あり得ることです。ただ、それが激しく、不適応的な行動に特徴づけられる場合は、障害として支援が必要になります。

主な症状

A.駆り立てられるようで反復がある目的のない運動(例:手を震わせる、手を振って合図する、身体を揺する、頭を打ちつける、自分にかみつく、自分の身体を叩く)

この反復性の運動行動によって、社会的、学業的、他の活動が障害され、自傷を起こすことがある。発症は発達期早期である。

反復性の運動行動は、物質や神経疾患の生理学的作用によるものではなく、他の神経発達症や精神疾患ではうまく説明されない。

常同運動障害の治療と支援

常同運動障害に関する治療・支援については、研究論文ならびに医師など専門家による文書を見つけることができませんでした。よって以下は、僕個人の解釈となります。

ただ、考えられる範囲でいえば、知的能力障害や自閉症スペクトラムとの鑑別が重要であることと、自傷を伴う常同行動は、減少させる必要があります。

心理療法が適応する年齢でもない場合、硬いものを排除するなどの環境調整や支援員をつけるなどの支援体制の強化を考えるべきだと思います。また、安心感が得られるような関係づくりや親との関係性の再構築などを考慮することも効果があると考えます。