心理学の成り立ち【公認心理師試験対策】

2020年11月6日

公認心理師試験では、心理学の基礎知識として、近代心理学の成り立ちが出題されます。精神物理学に始まり、現在で主流になっている新行動主義や認知心理学まで、表面的な知識の習得ができているかが問われているように感じます。それでは、順を追って、学習していきましょう。

精神物理学

精神物理学は、19世紀にドイツを中心として発展しました。主に感覚や知覚からアプローチして、実証実験が積み重ねられました。

ウェーバー(Weber,E.H.)

生理学者のウェーバーは、人の知覚について研究し、刺激の強さと弁別閾の関係性を明らかにしました。まず、以下の語句をみてください。

✔閾値:刺激強度の違い

✔絶対閾:人が刺激を感じる最小の刺激強度

✔弁別閾:刺激の強度の変化を感じる最小の刺激強度

この3つを踏まえた上で、ウェーバーの法則というものがありますので、そちらも憶えてください。因みに弁別閾と同意義の丁度可知差異という言葉があります。細かい違いについては、言及されませんので、イコールで憶えておいても構いません。

◇ウェーバーの法則

刺激の強さと弁別閾は比例するという法則で

例)10kgある箱の中身の重さが変わります。このとき、弁別閾は1kgです。比例するので、20kgある箱の中身の重さが変わるときの弁別閾は2kgになります。

言葉で説明すると、仮に「10kgが10.8kgになっても変化に気づきにくいが、10kgが11kgになったら重くなったと気づく」としますと、「20kgが21kgになっても気づきにくいが、20kgが22kgになったら重くなったと気づく」といったかんじです。

フェヒナー(Fechner,G.T.)

フェヒナーは、ウェーバーの弟子です。フェヒナーは心と身体の関連性を検討する上で必要な「精神物理的測定法」を作成しました。精神物理的測定法には、以下の3つがあります。

◇精神物理的測定法

✔恒常法:

基準になる刺激と別の刺激をいくつか準備する。別の刺激をランダムに提示し、基準の刺激との差異を回答してもらう方法

✔極限法:

刺激を大きい順や小さい順で提示し、どこで変化に気づいたかを調べる方法

✔調整法:

基準になる刺激を提示して、その基準と同じ刺激になるように、刺激の大きさを実験参加者自身が調整していく方法

◇フェヒナーの法則

ウェーバーの法則は刺激間の関係を示していましたが、フェヒナーは感覚そのものの大きさの対数関係を示しました。以下の式で表せられます。

感覚を、刺激を、定数をとする。

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実験心理学

ヴント(Wundt,W.M.)は、ライプツィヒ大学において、世界で初めての心理学実験室を設置したことでも知られています。ウェーバーやフェヒナーの影響を受け、より実証的な心理学実験を行うヴントの心理学は、実験心理学ともいわれています。

ヴントは、この実績から近代心理学の父と呼ばれ、実験心理学と民族心理学を大切にしました。(「ヴントが重要視したのは、民族心理学である」という設問が心理学検定にありましたので、一応、記載しておきます。」

その他、内観法(自分自身の心の状態や動きを客観的に観察する方法)を用いたことも、憶えておいてください。因みに日本発の「内観療法(内観法とも)」とは別物です。注意してください。

機能心理学

機能主義心理学ともいいます。主にジェームズ、デューイ、ソーンダイクが、機能主義心理学にあたります。ここでは、機能主義心理学の立役者であるジェームズについてお話します。

ジェームズ(James,W.)は、ヴントに影響を受けており、意識の流れや心的作用に着目しました。その流れで、情動の末梢起源説(James−Lange説)を提唱しています。

*情動の末梢起源説は「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのである」という言葉にあるように、情動が生起する前に身体表現があるとした説です。後に、指摘する形で情動の中枢起源説(Canon−Bird説)が唱えられます。

ジェームズは、このほかプラグマティズムの提唱者でもあります。また「自己」の研究者としても有名で、人間の自我を、主我(I)と客我(me)分けて考えた点で、今でも多くの研究者が詳細な研究し続けています。(僕も、自己の研究をしました……)

構成主義心理学

ティチナー(Titchener,E.B.)は、ヴントの弟子です。アメリカのコーネル大学に心理学実験室を設置し、構成主義を発展させました。構成主義は、内観法によって意識を構成する要素に分けて、法則性や構造を明らかにしようとする立場です。しかしながら、研究対象が曖昧であることから、他の学派の批判を受け続けることになり、大きな発展にはなりませんでした。

ゲシュタルト心理学

ゲシュタルト心理学では、ヴントから続く、要素を分けるということはせずに、全体像を大切にします。ゲシュタルトは、ドイツ語で「形」という意味です。つまり、知覚を形として捉え、形の全体像から見えるものを扱おうとしたのです。省略しますが、図と地の理論、錯視、プレグナンツの法則などが有名です。調べてください。

◇ウェルトハイマー(Werthimer,M.)

ウェルトハイマーは、仮現運動(長くなるので省略)など、全体は部分の合わさったものであると主張しました。この考えは、今後の研究者たちに多様な視点を与えることになります。

◇ケーラー(Kőhler,W.)

ケーラーは、お猿さんの研究で有名です。お猿さんが、棒切れや踏み台を使って、バナナを取ろうとする様子を観察した結果、ただ試行錯誤しただけでは学習できないような洞察学習をしたことを発見しました。

具体的にいえば、お猿さんは、最初は棒切れを伸ばしてみて届かず、踏み台に乗っても届かずでした。そして、試しもしていないのに、台の上に立って、棒切れでバナナを落としたのです。思いついて行動しているのです。これが洞察です。

◇レヴィン(Lewin,K.)

レヴィンは、ゲシュタルト心理学を個人だけでなく集団においても応用しました。これは集団力学といわれます。レヴィンは人(主体)の認知が達成を望む対象(場)によって影響を受けることにより人の行動を規定するとした場の理論を提唱しました。

精神分析学

◇フロイト(Freud,S.)

皆さんご存知のフロイト(Freud,S.)です。ヴントが意識に着目したのに対し、フロイトは無意識に着目しました。人の心は、自我(エゴ)、エス(イド)、超自我(スーパーエゴ)で成り立っていて、人の行動の多くは無意識により決定されているとしました。また、人には、無意識でも心を守る、防衛機制があるとしています。

◇アドラー(Adler,A.)

フロイトの弟子であったアドラー(Adler,A.)は個人心理学を提唱しました。アドラーは、意識と無意識のように考えるのではなく、全体を把握して行動の目的を理解しようとしました。

◇ユング(Jung,C.G.)

ユング(Jung,C.G.)は分析心理学を展開しています。ユングは人の心的エネルギーの向きを捉えようとし、外向性と内向性に分ける類型論で、アプローチしました。また、無意識に対しても、さらに分類をし、個人的無意識集合的無意識に分けました。

◇その他

自我心理学(Freud,E.H.)、対象関係論(Klein,M.)、ライフサイクル論(Erikson,E.H.)なども精神分析の流れを汲んでいます。

行動主義

行動主義は、ワトソン(Watson,J.B.)の講義の題名から注目されるようになりました。心理学は、これまでヴントや精神分析のような主観的な感覚や考察に委ねられていました。行動主義では、「心理学は科学であるべき」という考えがあり、意識の内観や精神分析とは違ったエビデンスに基づく実証実験が行われるようになっていきました。

ワトソンは、パブロフ(Pavlov,I.P.)の条件づけの原理を応用し、「アルバート坊や」の実験を公表します。このエビデンスから、これまで遺伝的な要因とされてきたものに、環境要因が大きく影響することを示唆しました。

新行動主義

ハル(Hull,C.L.)、トールマン(Tolman,E.C.)、スキナー(Skinner,B.F.)が新行動主義派です。

行動主義的なアプローチは、刺激−反応(S-R:Stimulus-Response)理論と呼ばれていました。やがて、ハルによって、刺激と反応の間には、同じ刺激が与えられても同じ反応が得られるわけではない有機体が存在するとして、刺激−有機体−反応(S-O-R:Stimulius-Organism-Response)理論が一般的になってきます。この有機体、つまり媒介変数が増えたことが新行動主義の最も大きな点です。

おさえる部分とすれば、トールマンのサイン=ゲシュタルトやスキナーのオペラント条件づけです。

認知心理学

認知心理学は「認知心理学(Neisser,U.,1970)」という著書で知られるようになりました。バーナー(Bruner,J.S.)の認知発達理論やバンデューラ(Bandura,A.)の社会的学習理論が認知心理学にあたります。

新行動主義のいわゆる有機体にあたる部分には、思考や記憶、学習など様々なものがあり、この内的な過程を情報処理過程と捉えるのが認知心理学です。

行動主義と認知心理学は、このように重なる部分があり、互いに影響を受けながら発展しました。そして、認知行動療法が生まれるのです。

最後に

ざっくり説明しました。詳しく解説ができそうなところもあるので、のちのち解説を付け加えていきます。とりあえず、疲れました。リンクなどを貼って、どんどん対策記事を作っていこうと思います。