研究倫理【公認心理師試験対策】

2021年3月6日

今回は、研究倫理について勉強したことを記事にしました。手元には4つの参考書があり、著作権に配慮しながら、それぞれ説明の仕方を活かしながら、書いていければと思います。

僕自身、大学院で修士論文を書きました。公認心理師試験対策とはいえ、この研究倫理の部分は、本当に大切です。これが分かっていないと、論文を書くことができません。

公認心理師試験は、現在では心理学の研究の経験がない方も受けられます。とはいえ、今後の活躍を考えると、心理学研究の論文は読めた方がいいです。その際、研究倫理についても詳しければ、論文を読んだ際に、研究自体のイメージができます。勿論、研究方法論や統計もそうです。

研究経験がない方は、公認心理師試験で、いわゆる捨て問題(他の部分で点をとればいいと、間違えても仕方ないと位置づける問い)される方もいらっしゃるでしょうけど、毛嫌いせずに学んでいただければと思います。

研究倫理

研究者には、研究倫理を守る義務が発生します。各研究機関(大学や研究センター、○○協会、○○学会など)において、倫理審査が実施され、研究倫理に反する場合は、論文が受理されないようになっています。

一部、4年生大学で基準が甘い場合があるようですが、それは学生論文(卒業論文)の執筆のためで、公に論文が発表されないことが前提になっているからです。

倫理審査は、主に学会誌に掲載する論文や紀要論文を書く際に、厳密に審査されます。これは、研究の信頼性や質を保っていくために、とても重要な審査です。

例えば、量的研究において十分な数値が出ていないにもかかわらず、分析結果をさも影響があるように記載したとします。研究者の楽をしたい気持ちもわかりますが、この論文が世に出てしまうと、その後、この論文を参考にして新たな論文を書く人は、混乱してしまいますし、何より研究の結果を噛み砕いてしか理解できない一般の方に、誤った理解をさせてしまいます。

以前、生物科学の分野で、とある細胞の問題がありましたが、倫理審査のような発表前の審査があれば、あれほど大事になっていなかったでしょう。

また、心理学の論文では、質的研究のようにインタビューを受けた人の台詞を文字に起こしたりするものもあります。他人に知られたくない情報がありふれていることでしょう。こうなると、個人から掲載許可をもらうことは必須です。

研究倫理のポイント

説明責任とデータの扱い方について説明します。

説明責任

説明責任については、インフォームド・コンセントとデブリーフィングを理解してください。

◇インフォームド・コンセント

参加者に研究の概要を説明し、参加するかしないかを選択してもらいます。この際、研究を無理強いしたり、協力しないからといって不利益を被ることはあってはなりません。あくまで、参加者の自由意志による協力をお願いします。

◇デブリーフィング

研究をする上で、研究の概要を説明するわけですが、研究によっては、説明してしまうと、参加者に何らかの影響が出て、ほしいデータが得られなくなることがあります。その際は、最初に偽の説明(デセプション)をして、データ収集後にタネ明かしをします。これがデブリーフィングです。ただし、デセプションによって参加者に心的な負担があってはいけません。大きすぎる嘘はダメということですね。

データの扱い方

まず、データ収集を行う際には、参加者に許可を得る必要があります。よく使われるのは、質問紙のフェイスシートに「合意する・合意しない」という欄を設けて、○してもらったりします。実験や観察でも同様に参加の合意書を準備するのが一般的です。

データの扱い方として、大前提は「研究以外の目的で使用しない」「データの保管と研究終了後の破棄の仕方を明記し徹底する」です。SNSにデータを載せたりしてはダメですし、鍵ができない引き出しに紙やUSBを保管してもダメです。

集計が終わった質問紙も研究が完全に終わるまで保管し、研究が終わったら、シュレッダーで破棄します。面倒くさいからと、そのまま破棄したり、持って帰って燃えるゴミに捨ててもダメです。

これらは、重大な問題で、所属機関からの追放などの重い処分を受けることになります。大学生の卒業論文でも同様です。最悪は退学処分を受けることもあります。

倫理指針

心理学の研究といえど、精神疾患や心の問題を扱う場合があるので、倫理指針としては厳しいものになっています。

2014年に文部科学省と厚生労働省から「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が示されました。心理学の研究は、医学的な要素があり、この倫理指針が適用されています。

例えば、昔の社会心理学の研究では、対象者の身体に電気を流して苦しめたり、不利益があることを分かっているにも関わらず研究の統制群として、位置づけたりしていました。

現在は、これらの研究は倫理違反とされ、研究を行うこと自体が問題とされます。

おまけ

以前の細胞の問題があって、研究倫理が大きく見直されるきっかけになりました。大学院を修了して、すでに社会人になっている方の論文に不正が見つかり、修士号や博士号を取り消されたケースまで発生しました。

今では、多くの大学が倫理審査委員会を設置しています。倫理審査や口頭試問など、大学院生と相違ないレベルで厳しくチェックされています。

最後に

研究は、本当に大変です。僕は大学は体育系だったので、大学院で心理学を勉強して、研究の厳しさに驚きました。心理学というと一般の方からすると、ちょっと信頼できない怪しい学問のよう捉えられることもありますが、研究の信頼性と妥当性をここまで慎重に検討しているのかと、他の分野の研究とは一味違う感覚を得ました。

でも、だからこそ、エビデンス確保され、人の為になるのだとも思います。これも心理学研究の面白さですね。研究をしたことがない方も、ぜひご自分の領域で学会誌掲載を目指して、研究してみてはいかがでしょうか。

今回は、ここまでです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

第3回公認心理師試験に合格することができました。その体験談と実際に使用した参考書を紹介する記事を書きましたので、ぜひご一読ください。(↓)

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