【精神病院】精神保健指定医と精神科病院の入院形態【公認心理師試験対策】

2021年9月15日

精神保健指定医

精神保健指定医は、厚生労働省が定める国家資格です。精神保健福祉法における精神疾患患者の人権の制限に関わります。主に精神疾患患者の入院と退院時の診察と判断を行います。患者の人権に関わることなので、資格取得の要件は非常に厳しいものになっています。

資格取得の要件

  • 5年以上診断または治療に従事した経験があること。
  • 3年以上精神障害の診断または治療に従事した経験があること。
  • 厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断または治療に従事した経験があること。
  • 厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修(申請前1年以内に行われたものに限る)の課程を修了していること。

■診察と診断についてはケースレポートを提出し、審査を受けることとされています。また、この資格は5年ごとに更新が必要となっています。

任意入院(本人の同意)

任意入院は、患者が任意で入院する入院形態です。インフォームド・コンセント(入院前の詳細な説明)を受けて、それに合意して入院する場合に任意入院となります。

任意入院は、患者が退院を希望すれば、退院することができます。ただし、退院する前に精神保健指定医が診察を行い、精神保健指定医が入院の継続する必要があると判断した場合は、72時間に限り退院を制限できます。【精神福祉保健法 第20条 第21条】

■任意入院をして、患者から退院の希望があった場合、原則は上述の通りですが、精神保健指定医の診察で入院の継続が必要であると判断され、患者本人の同意が得られない場合は、医療措置入院に切り替えられることもあります。

医療保護入院(家族の同意)

医療保護入院は、患者の同意がない場合でも家族等の同意があることで入院する入院形態です。患者の精神障害の状態を見て入院の必要があるにもかかわらず、本人の同意が得られない場合に、家族の同意のもと精神保健指定医が診察を行い、入院を非自発的に行うことができます。

家族等とは、親権者(保護者)、配偶者、後見人、保佐人を指しています。家族等がいない場合は、各市区町村の長が説明を受け、入院の同意を行います。【精神保健福祉法 第33条】

応急入院(一時的入院)

応急入院は、精神障害があり入院の必要があると判断されるが本人の同意がなく、家族等とも連絡が取れない場合かつ自傷や他害のおそれがない場合に、精神保健指定医の診察を行い、72時間に限り入院させることを指します。

あくまで一時的な入院なので、精神保健指定医の診察により72時間以降も入院を継続する必要があると判断された場合は、72時間のうちに家族等の同意を得て、医療保護入院に切り替える必要があります。【精神保健福祉法 第33条 4項】

措置入院(通報による入院)

措置入院は、自傷や他害のおそれがある精神障害者各都道府県知事の権限で精神科病院に入院させる入院形態を指します。

措置入院は、警察や検察官、福祉施設、矯正施設、保護観察所、一般人などの通報があった場合精神保健指定医2名以上の診察の上、入院が必要と判断された場合に、措置入院となります。【精神保健福祉法 第29条】

■措置入院となった患者の退院については、精神保健指定医の診察により、自傷や他害のおそれが消失したと判断された場合に、各都道府県知事の承認を得た上で、退院となります。

緊急措置入院

緊急措置入院は、措置入院に該当する通報があった場合で、精神保健指定医が2名以上揃わなかったり、情緒的混乱が酷くて診察が行えないなどの緊急の場合に、精神保健指定医1名のみの判断で72時間に限り緊急措置入院とすることができます。

情緒的混乱が落ち着いた後や精神保健指定医が2名以上揃った後に、適切な手順を踏み、措置入院とすることになります。【精神保健福祉法 第29条】

公認心理師試験対策

精神科病院での勤務者だけでなく、公認心理師は通報する立場に立つ可能性もありますので、必須の知識と言えます。

「72時間」という言葉が何度も出てきましたが、「72時間の退院制限」なのか「72時間に限り入院」なのか大きな違いです。しっかり憶えておきましょう。