森田療法【公認心理師試験対策】
今回は、日本で生まれた心理療法である森田療法について解説します。
森田療法
森田療法とは
森田療法は、森田正馬(まさたけ)が1920年に考案しました。森田療法の基本的な考えとしては、森田神経質の人は、精神交互作用があることで不適応に至るものであるとされています。
■森田神経質とは、一般的にいう神経症に近いものです。しかしながら、神経症は行動や物事への執着を指すのに対して、森田神経質は「生きる」という欲望に執着している状態といえます。
また、森田療法では、森田神経質の精神的要素をヒポコンドリー性基調と呼びます。ヒポコンドリー性基調とは、自分の心身に病的な要因があるのではと不安になることです。
■精神交互作用とは、心身の不調に意識がとらわれ、その状態から抜け出そうとする行動をとることで、かえって不適応が増すことです。
森田療法の目的
森田療法では、精神交互作用に至る意識のとらわれから距離をとり、生きることに対する欲望をあるがまま受け入れる態度を身につけることにあります。その上、やるべきことを見つけ、目標志向、行動志向の態度が身についていく過程で不適応が改善されます。
森田療法の方法
主に行われるのは、施設に入院する形で、日記をつけて、生きる欲望をあるがままに受け入れる態度、目標志向、行動志向になるように、自分を見つめます。近年では、通院による外来森田療法も体系化されています。
森田療法の入院形態
森田療法の入院形態は、①絶対臥褥(がじょく)期、②軽作業期、③重作業期、④社会復帰期の4つの期間で分かれています。
①絶対臥褥期
絶対臥褥期は、4〜7日間です。患者は食事、洗面、入浴、トイレ以外は、一日中、個室で横になったまま、症状と向き合います。本、テレビ、ゲーム、スマホなどは禁止されます。
②軽作業期
軽作業期は、4〜7日間です。個室の外に出ることができ、内職や掃除などの簡易な軽作業を行いながら、目標や行動に対する活動意欲を高めていきます。
③重作業期
重作業期は、7〜14日間です。他の患者と協働して、作業を行います。終了したときに、仲間意識が芽生えたり、達成感が得られたりする課題で行われます。
④社会復帰期(生活訓練期)
社会復帰期は、7〜30日間です。外出や外泊が可能です。心身における社会復帰の準備を行います。もっと具体的に、家族のある人は家庭に戻ることもあります。定期的に施設と連絡をとり、現状報告を行います。
確認問題
- ①森田療法を考案した人物は?
- ②森田療法の目的は?
- ③森田療法の入院形態の4つは?
- ④入院形態のそれぞれの特徴は?
- ⑤森田神経質とは何か?
- ⑥精神交互作用とは何か?
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