学校教員が公認心理師になる方法【Gルート受験を逃した人へ】

はじめに

公認心理師資格ができて、多くの学校教員がGルートによる受験をして、合格してきました。しかしながら、教員は忙しく、十分な勉強時間を確保できないことから惜しくも合格に至らなかった人もいます。

そして、今後も『教員+公認心理師になりたい』や『方向を変えて、公認心理師として生きていきたい』という方がいるはずです。

そこで、今回は『Gルート受験を逃した人に向けて、教員が公認心理師になる方法』をお教えします。

ただ、公認心理師資格を得るために最低でも2年を要します。一方で、上手くいけば同時に専修免許状と多くの知識を得ることができます。これを理解した上で読み進めてください。

教員の研修制度を利用する

まずは、教育公務員特例法にある教員の研修制度を理解してください。

教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。

②教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。

教育公務員特例法 第21条(研修)

教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。

②教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。

③教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。

教育公務員特例法 第22条(研修の機会)

教員が国内外の大学院に在学し、専修免許状を取得する機会を拡充するため、教育公務員特例法等の一部を改正する法律(平成12年4月28日法律第52号)により大学院修学休業制度が創設されています。

(1)公立学校の教員(教諭、養護教諭、栄養教諭及び講師)で、一種免許状又は特別免許状を有する者は、任命権者の許可を受けて、専修免許状を取得するため1年を単位とする3年を超えない期間、国内外の大学院へ在学し、その課程を履修するための休業をすることができます。

(2)休業中の教員は、その身分を保有しますが、職務に従事しません。

(3)休業中は給与は支給されません。

文部科学省ホームページ

以上のように、教員には研修の機会が与えられています。任命権者というのは、所属の教育委員会を指しますが、概ね学校長に相談して、教育委員会に掛け合ってもらう流れになります。

研修として大学院に進学する

教員は研修制度を利用して、大学院に進学することができます。勿論、試験を受けて、突破する必要はあります。社会人枠で受験することができます。

大学院に進学する目的は、専修免許状を取得するためではありますが、これに拘らず教科指導や生徒指導、学校運営、教育方法論、教育心理学、特別支援教育など多岐に渡ります。学校長に相談する際に何が学びたいか明白にしておくと必要があります。

その中で、今回は『公認心理師を取得する』が目標となるため、公認心理師試験の受験資格を得られる大学院に進学する必要があります。

公認心理師は、国が基準を満たした大学・大学院を養成機関と認め、その大学・大学院で必要な単位と実習、研究を経た場合に受験資格が得られます。

大学院に進学する場合、まずは修士(最低2年間)の課程に在籍する必要があります。これを修了すると修士号が授与されます。それと同時に専修免許状取得の単位を得ている場合は専修免許状も授与されます。

つまり、教員として都合の良いのは、公認心理師の養成機関として認められている大学院かつ教員専修免許状が得られる大学院を選ぶのが良いわけです。

気をつける点(教職大学院)

教員が大学院進学をする際、教職大学院への進学を推奨されます。教職大学院というのは、教員の養成機関である一部の大学に設置された教職カリキュラムを強みにしている大学院のコースです。

教職大学院では、教育や学校に関する学問を広く学ぶことができます。加えて、専修免許状も取得することができるので、将来的に管理職になりたい教員にとっては好都合です。

一方で、僕の把握しているところで、公認心理師試験の受験資格は得ることができません。必ず確認してください。

気をつける点(内地留学)

教員の大学院進学に関して、内地留学という制度もあります。内地留学というのは、1年間にわたり大学院に所属し、講義を受けることができる研修制度です。籍は学校に残したまま、給与も貰えます。

学校での勤務も週何日か従事しながら大学院にも通います。内地留学は1年間の上限があるため、2年間の就学が必要な修士課程とは別物です。

つまり、修了をすることはできません。専修免許状も取得することができません。あくまで一時的な研修となっています。

大学院進学のあと

まず、1年目で単位を取りまくります。修了するには必修単位を含む30単位が必要です。これに加えて、公認心理師試験の受験資格を得るための単位、専修免許状を得るための単位が必要です。

重なっている単位もあるので、実質2年間で40〜45単位ほど取得することになります。かなり忙しいです。

2年目は、修士論文の執筆と現場実習に時間を費やすことになります。1年目に必修単位を取っておかないと実習に行かせてもらえません。2年目も忙しいです。

とはいえ、2年目の後半から職場復帰している人もいました。個人的な感想ですが、修士論文は学部の卒業論文とは比べものにならないくらい大変です。

心理学の知識がない教員が心理学系の論文を書くわけですから、論文の読み方、書き方、理論構成、心理統計など学ぶことが多いのです。

通信制大学院もありだが…

放送大学には、通信制大学院があり、公認心理師試験の受験資格に対応したカリキュラムもあります。実際に大学院に通うことととの違いを強いて上げるなら、教授や大学院生、学部生との交流が少ないということです。

今後の公認心理師としての活躍を考えると、教授や仲間の考えや意見に触れて、自分の研究や心理支援のスキルを高めることはとても重要です。

研修制度を利用することで、給与はないにしても、じっくりがっつり学ぶことができます。社会人になると、がっつり学ぶ機会というのは無くなってしまいます。

加えて、放送大学は倍率が高いです。教員だけでなく、他領域にいる人も放送大学で公認心理師になろうと考えている人は多いので、それならば教員にだけ許された制度を利用するのも良いと思います。

また、心理学は本を読んで独学で…という人がいますが、僕は独学は無理と断言します。この理由は、実際に大学院に通って、理論や療法を学べば理解できると思います。

最後に

SNSでは、Gルートを認めないといった論争がありますが、教員の仕事は教育に特化していて、心理学に特化しているわけではありません。なので、真摯に受け止めるべきと思っています。

経過措置が終わり、教員の実績だけでは公認心理師試験を受けることができなくなります。今回、示した方法で公認心理師の取得を目指す教員が増えると思いますが、心理学の奥深さに触れる良い機会になると思います。

そして、苦労して公認心理師を取ったあとに、きっと『大学院で学んで良かった』と思うことでしょう。公認心理師は意味ある資格だと納得できるはずです。