【発達障害】特別支援学級に入級させるか迷ったときに読む記事【保護者向け】

元教員の公認心理師です。今回は、義務教育を受ける子どもを持つ保護者の方で、子どもを特別支援学級に入級させたほうが良いのか迷っている保護者の方へ、決断のヒントになる記事を書こうと思います。

特別支援学級とは

特別支援学級とは、一般の義務教育機関である小学校や中学校の中に設置されている特別な支援が必要な児童生徒が通う少人数学級のことです。

詳しく説明すると、知的能力障害や自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害などの発達特性を持つ児童生徒、肢体不自由、病弱、弱視、難聴といった学校生活において特別な支援が必要な児童生徒が通うことができる学級のことです。

特別支援学級は、小学校や中学校に設置してもよいと位置づけられているため、必ずしも全ての学校に設置されているわけではありません。

また、少人数による運営が義務づけられており、担任教員と支援員によって教育が提供されます。

教育相談を利用しよう

各都道府県に教育相談ができる公営施設があります。例えば、児童相談所、教育支援センター、役所の児童相談課などです。これらは小学校や中学校に就学する前の相談もできます。

また、通常学級に通っているけど特別支援学級に移籍したほうがいいかもと悩まれた場合は、在籍する学校のスクールカウンセラーに相談することをおすすめします。

特別支援学級で受けられる支援

特別支援学級においては、授業を特別支援学級で受けるのか、普通学級で受けるのかが検討されます。子どもの特性を考慮した上、保護者の希望と学校運営の擦り合わせを経て決定されます。

例えば、算数や国語は理解が遅れているため特別支援学級で、体育や音楽は友達と交流したいから普通学級で授業を受ける子もいます。

特別支援学級に在籍しながらもほとんどを普通学級で過ごす子もいます。ただ、特別支援学級に在籍していることが重要で、この場合は支援員が普通学級に入って当該児が困ったときに支援を施します。

■学校の運営上、支援員をつけるには人員配置の手続きが必要となります。これは、年度末に市区町村の教育委員会が配置を決定するため、年度途中に支援員をつけてほしいと希望しても、配置されません。

個別の教育支援計画

特別支援を受ける児童生徒には、個別の教育支援計画が組まれます。これは、児童生徒の特性に応じて柔軟かつ計画的に教育を施すことを目的にされています。

個別の教育支援計画は保護者と担任教員が話し合い、計画されます。例えば、教科指導の進め方、社会性教育、配慮事項などが盛り込まれます。

個別の教育支援計画は、半年ごとに更新されます。また、進級・進学時に教員間で引き継ぎが行われるため、継続的に支援を受けることができます。

教員と支援員の立場

特別支援学級の担任教員や支援員は、必ずしも特別支援の教員免許を持っているとは限りません。

加えて、現在の大学における教職課程では、特別支援教育や合理的配慮といった講義が必修単位となっていますが、一昔前までは特別支援教育を学ぶ機会が少なかったこともあり、支援や配慮に欠けるという声も聞きます。

この点、不安を感じた場合は、スクールカウンセラーを通して学校の校長に伝えてもらうか、教育委員会に相談することができます。

■報道等あるように、特別支援学級では、子ども自身が助けを求められないこともあり、不適切な教育が行われることがあります。保護者として、子どもを守る姿勢を持ちながら、上手く学校と連携することが大切です。

合理的配慮と教育的支援

合理的配慮とは、子どもの特性に応じて必要と判断される配慮のことです。個別の教育支援計画にも記載されます。合理的配慮をすることで、児童生徒の教育を施しやすくするわけです。

介護でいえば、車椅子を使っているからトイレの介助が必要というのは配慮です。同じように、発語がないから音声アプリを使用して意思疎通ができるように工夫するのは配慮です。

一方で、気持ちが高ぶると他の子を叩いてしまうため、叱ってダメだと伝えることは教育的支援です。

教育的支援とは、子どもの成長を支えることです。その一瞬のための優しさや配慮が教育として子どものためになるかを考える必要があります。

例えば、他の子を叩いてしまった子がいたとして、『この子は叩いてしまうけど、悪気はないの。ごめんね。』とかわりに謝ってしまうのは、配慮であって教育的支援ではありません。

時には『叩くのはダメ!謝りなさい!』と伝えることも大切です。これにより、理解がどうあれ不適切な行動を減らしてあげられるのであれば、この子の未来のためになります。

合理的配慮と教育的支援の違いを理解して、学校と向き合ってみてください。配慮してほしい部分と教育してあげてほしい部分が分かれば、教員との連携がとりやすくなります。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスとは、発達障害を持つ児童生徒が通う療育施設です。保護者の方も仕事があったり子どもに付きっきりだったりで疲れもあります。

その場合に、放課後等デイサービスに子どもを預けて療育を施してもらいます。とはいえ、各施設には色があり、社会性の向上を目的にするほか、音楽療法やコンピュータ学習を盛り込んだ施設もあります。

放課後等デイサービスを利用するには、発達障害の診断が必要です。児童相談所などで診断を受けた後、市区町村の計画相談員(計画支援相談員)に相談して紹介してもらうことができます。

学校から施設への送迎、施設から自宅への送迎も可能なので、ご家庭の支えになります。

子どもの将来を考える

子どもの幸せのカタチを考えたときに、発達的な特性により、私達のように働いたり結婚や趣味を自由に選択できるわけではありません。

この点を飲み込んだ上で、18歳になる頃、生活介護を受けて生きていくのか、就労支援を受けて生きていくのか、一般就労で生きていくのか、を想像してください。

子どもが苦しまず、可能な限り幸せに生きていける道筋を示してあげてください。子ども本人は意思決定できる場合は、聞いてあげてください。

保護者の希望で、一般就労を選択したものの継続が難しく辞めてしまうケースもあります。あくまで子どもの特性に適した未来を想定することが大切です。

教育心理学

Posted by Cozy