社会保険、生活困窮者自立支援、生活保護(3つのセーフティネット)【公認心理師試験対策】
今回は、生活保護と生活困窮者自立支援を説明していきます。読んでもらえれば、それなりの知識がつくことと思いますので、最後まで読んでみてください。
3つのセーフティネット
社会保障制度を語る上で『3つのセーフティネット』という言葉を憶えてください。日本は社会保障制度としてセーフティネットを3つの段階にわけています。
①社会保険、②生活困窮者自立支援、③生活保護
①社会保険制度
社会保険には、雇用保険、労災保険、年金、医療保険、介護保険があります。第1のセーフティネットに当たります。
失業した際は雇用保険、仕事が原因で病気・ケガをした際は労災保険、定年退職した際は年金、入院・治療が必要になった際は医療保険、高齢や障害で介護が必要になった際は介護保険、といった具合に困ったときに金銭的に助けになる制度です。
②生活困窮者自立支援
生活困窮者自立支援制度は、長期失業者や多重債務、ひきこもり、DV、依存症など、生活困窮者の自立をは幅広く支援する制度です。第2のセーフティネットに当たります。
生活困窮者支援に繋がる方法としては、まず市区町村の生活困窮者自立支援相談窓口にて「自立相談支援」を受けます。
自立相談支援でアセスメントが行われ、支援計画が作成されます。支援計画によって必要な支援が選択される流れになります。中には、生活保護が必要になる場合もあり、その場合は福祉事務所で調査が行われます。
生活困窮者自立支援 利用条件
基本的には、★生活保護に至る可能性が高い者で支援によって自立が見込まれる者、★生活保護から脱却したものの再び生活保護に至る可能性が高い者、です。
主な支援内容
- ①住居確保給付金(一時的に家賃を支給)
- ②一時生活支援(住居がない場合の宿泊費・衣食提供)
- ③就労支援(職業紹介)
- ④就労訓練(支援つき就労)
- ⑤就労準備(技能訓練・知識習得)
- ⑥地域居住(入居先探し・地域繋がり)
- ⑦家計改善(医療費・ローンなどの債務整理)
- ⑧子どもの学習・生活(進学・高校中退防止)
③生活保護
生活保護制度は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するための制度です。第3のセーフティネットに当たります。
生活の水準が健康で文化的な最低限度の生活に満たない場合、福祉事務所に相談して調査を受けます。生活保護の必要があると認められた場合に生活保護が受けられます。
生活保護の受給条件
基本的には、★扶養を含めて資産や能力あらゆるものを活用していること、★最低限度の生活を営めない貧困状態であること、の2つです。
★1 土地や権利など、お金に変えられるものがある。また資格や労働力があれば、まずはそちらが優先的に審査されます。働くことができれば、生活保護ではなく、就労支援を受けることになります。
★2 最低限度の生活を営めない貧困状態とは、世帯収入が厚生労働大臣の定める生活保護基準額を個別の世帯に換算した『生活費』に満たない状態です。
生活保護 8つの扶助
生活保護には8つの扶助があります。加えて、一時扶助(賃貸物件の更新費用や引越の運送費など)があります。
- ①生活扶助(衣食・光熱費など)
- ②住宅扶助(家賃・土地代など)
- ③教育扶助(義務教育費など)
- ④医療扶助(受診・薬の費用など)
- ⑤介護扶助(介護サービス・福祉用具の費用など)
- ⑥出産扶助(出産にかかる費用など)
- ⑦生業扶助(高等学校就学・技能資格取得の費用など)
- ⑧葬祭扶助(通夜・葬式にかかる費用など)
- ※一時扶助(事前申請が必要な一時的な費用)
生活保護の不正受給
公認心理師試験には出題されないと思いますが、理解が深まるかもしれないので記載します。
生活保護を受給している状態で、①収入があったのに申請しない、②過小に(虚偽の)申告した、世帯構成員が死亡・転入・転出したのに届け出ない場合、不正受給と判断されます。
不正受給と判断された場合、最大で4割増で返還する必要があります。この返還に応じず、行政が告訴した場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。