心理学研究における「信頼性」【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

信頼性とは

研究や統計では、人や場所、時期などの条件を同じにすれば、再び同じ結果が得られるという「揺るがない結果」が大切にされます。この状態を信頼性が高いといいます。

逆に、ある研究論文を読んで全く同じ条件で研究を再現したつもりが、全く違う結果になってしまったとすると、信頼性が低いといえます。

研究論文を書く上で、この信頼性を確保しないままでは、「この結果って本当に正しいの?」と言われても仕方がありません。

信頼性係数

心理学の量的研究では、内的整合性を確認する方法として、クロンバックのα(アルファ)係数があります。公認心理師試験では、計算式までは出題がないので、『論文が読める』範囲で説明します。

α係数は、心理尺度の下位尺度に対しての信頼度を示すもので、基本的には「0.00〜1.00」の間で上下します。『α係数が1.00に近いほど内的整合性が高い』といえます。少なくとも「0.70」はないと、下位尺度の信頼性が十分でないと判断されてしまいます。

■内的整合性とは、下位尺度の中の項目が同じことを測定しているかの程度のことです。

■下位尺度とは、心理尺度の中にあるカテゴリのようなものです。例えば、『自己内省尺度』には「①内省の頻度」「②内省の深さ」「③否定性への抵抗の強さ」という3つの下位尺度があります。

■項目とは、心理尺度の構成する質問項目のことです。例えば、『完璧主義尺度』には「目標は常に高く持っている」「いつも完璧でありたい」などの項目があります。

信頼性を確かめる方法

信頼性を確かめる方法としては、再検査法、代理検査法(平行検査法)、折半法があります。

再検査法

心理尺度Aを用いた場合、Aを実施したあと、一定の期間を空けてもう一度Aを実施します。この1回目のAと2回目のAを相関分析にかけて相関係数が高い場合は、信頼性が高いといえます。

■相関係数は、「1.00〜0.00」で上下します。『相関係数が1.00に近いほど強い相関がある』といえます。

代理検査法(平行検査法)

測定したい心理尺度Aと類似した心理尺度Bを準備し、同時に実施します。心理尺度AとBを相関分析にかけて、相関係数が高い場合は、信頼性が高いといえます。

折半法

心理尺度Aを2つに分割して実施します。その2つを相関分析にかけて、相関係数が高い場合は、信頼性が高いといえます。