Cohen,A.K.の非行下位文化理論【公認心理師試験対策】第3回:問141

2021年3月20日

非行下位文化理論

非行下位文化理論は、コーエン(Cohen,A.K.)が提唱した理論です。ある文化に対して下位にあたる文化で生きている者は非行を起こしやすいとする理論です。

この真意としては、アメリカのスラム街において生活に困窮した少年たちが、生きるために食べ物を盗むなど非行に及びます。この行為は通常レベルの文化からすると、非行や犯罪と言わざるを得ませんが、下位文化で生きる少年たちからすれば、これが通常の文化なのです。

また、下位文化がある一方で、上位文化があるともされています。上位文化は経済や物流が高いレベルにあり、より生活に余裕があるために犯罪率が低くなると考えられています。(犯罪を犯さなくても生きていける。)

■この理論は、環境や文化が多種多様であるため、支持する研究者もいれば、支持しない研究者もいます。実際に、先進国においても犯罪が多かったりするわけですので、単純にこの理論の通りとはいかないようです。

下位文化の者は「生きる」という目的で犯罪に手を染めますが、上位文化における犯罪は「生きる」ことは前提にあり、更なる充実や感情的な理由であることが多いです。

そもそも非行下位文化理論は、デュルケームのアノミー理論が根本にあります。アノミーというのは、無秩序の状態を指す言葉です。

例えば、法整備が進んでいる国は、基本的な人権や最低限の生活を営む権利などが生まれながらにして保障されており、社会保障制度も充実しています。

一方で、無秩序状態にあるスラム街や法整備の進んでいない国は、犯罪という概念すらないに等しい状態があります。無秩序といっても宗教などの法にかわる抽象的な秩序が生じることもあります。