サイコロジカル・ファーストエイド【公認心理師試験対策】
サイコロジカル・ファーストエイド
サイコロジカル・ファーストエイド(PFA:Psychological First Aid)は、地震や洪水などの災害直後から約1ヶ月間で行われる心理支援のことで、日本では心理学的応急処置といわれます。
臨床心理学において、災害はトラウマとして心的負荷が大きく、急性ストレス障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に繋がることからPFAが重要であるとし、アメリカとWHOは、PFAのガイドラインを作成しています。
日本では、東北地震の際に精神科医や臨床心理士がチームで派遣されています。これを「災害派遣精神医療チーム(DPAT:Disaster Psychiatric Assistance Team)」といいます。現地のニーズや状況に応じて、精神科医、看護士、薬剤師、臨床心理士、公認心理師などがチームを構成した上で派遣されます。
PFAの8つの活動
①被災者に接近し、支援を開始する。
心理支援の多くは、クライエントが病院や施設を訪れ、心理療法などを受けるわけですが、PFAにおいては、被災者の状態をよく観察し、全体もしくは個人に積極的に支援施す必要があります。特に子どもは、トラウマによる影響を強く受けるため、早期の支援を心掛ける必要があります。
②安全と安心感を与える。
状況に応じて、食料の確保や衣食住の確保を支援します。直接的な心理支援ではありませんが、あらゆる支援団体と協力して、全体の安全を確保し、安心感を与えることが重要です。
③安定化を図る。
被災者には、混乱している人や興奮している人もいます。心理支援によって、こうした人たちの心の安定を図ることで、集団全体が落ち着き始めます。
④情報を集め、必要なこと、困っていることを把握する。
乳児のミルクやオムツが足りないかもしれない。女性の生理用品が足りないかもしれない。普段から服用している薬が手元にないかもしれない。など、非常時だからと我慢しようとする人もいるので、そうした生活上の支援も考える必要があります。
⑤現実的な問題の解決を支援する。
家族と引き離された被災者に対して、他の派遣チーム(自衛隊やボランティアなど)と連携して、情報収集して、家族の安全を知らせることも重要です。動けば解決に繋がるが、動き出せない人もいます。そうした人支援を施します。
⑥周囲の人との関わりを促進する。
家族や友人、近所の人など、繋がることで精神状態が安定する人がいます。特に子育て世代の保護者や子ども、高齢者の関わりを促進することが重要です。互いに支え合うことができます。
⑦対処に役立つ情報を提供する。
行動療法的にストレスとの向き合い方を指導したり、自律神経を整えるための生活習慣を教えたりするなど、実践可能で具体的な情報を提供すると良いです。
⑧紹介と引き継ぎをする。
生活適応レベルが低い高齢者であれば、避難所から介護施設に移ったほうがいいですし、持病が悪化し、入院が必要な人であれば、病院に移ったほうがいいです。他の支援団体と連携して、速やかな移動を行い、精神状態や服薬状況などの引き継ぎまでを行います。
PFAの3つの活動原則
PFAでは、活動の軸になる原則が3つあります。それは、「見る」「聞く」「つなぐ」です。
◆見る
援助活動を行う前には、必ず周囲の状況を確認し、ニーズや緊急性を把握する必要があります。子どもや高齢者、妊婦の数などを見ることで、支援物資や必要な支援が分かってきます。また診察の意味でも、全体を見るだけでなく、個人を丁寧に見ることが重要です。
◆聞く
見ることに加えて、聞くことでニーズや緊急性を深く理解することができます。また、聞くことで、必要なものや気になっていることなどが分かります。そして、傾聴により気持ちを落ち着かせたり、不安を緩和させることも意識して行います。
◆つなぐ
ニーズに適した支援サービスに繋げること、問題解決の支援、情報収集と情報提供が相互に行える関係を築くこと、被災者同士の助け合いを促すことが大切です。
支援者同士のケア
PFAでは、被害者だけでなく、被害状況や困窮する被災者を目の当たりにする支援者も急性ストレス障害、PTSD、適応障害などのリスクがあります。特に被災しながら支援に回る人たちには、注意する必要があります。
支援者が倒れてしまうと、全体が倒れることになります。PFAのガイドラインでは、その点にも配慮し、支援者同士で助け合うことも盛り込まれています。
公認心理師試験対策
この記事を読むことで、多くは網羅できていると思います。あと、付け加えるとしたら、信仰については尊重するべきであるという点です。日本では、あまり信仰者は多くありませんが、海外では宗教や哲学を信仰する人が多く、それにより心の安定を図ろうとする人もいます。
例えば、お祈りしたり、聖書を読んだりすることもあります。エビデンス・ベースドを心得ている医師や心理士からすれば、疑問を抱くこともあろうかと思いますが、それを指摘したり拒否することは、支援者側が積極的に関わろうとするPFAには適さない考えです。
信仰についても、傾聴して、混乱や不安を緩和すること、同じ信仰者同士で互いに助け合いをさせるなど、状況に応じた関わり方が大切になります。
確認問題
【○✕問題】
- ①PFAの3つの活動原則は、見る、聞く、確かめるである。(○or✕)
- ②PFAでは、他業種との連携が重要である。(○or✕)
- ③公認心理師なので、心理支援のみに注力する。(○or✕)
- ④幼い子どもは、PTSDのリスクが高く、特に注意する必要がある。(○or✕)
- ⑤信仰は、心理支援を妨げることがあるので、控えてもらうように声をかける。(○or✕)
公認心理師試験対策テキスト
僕は、以下の2つで大体を網羅しました。
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