Ellis,A.の理性感情行動療法(論理情動行動療法)【公認心理師試験対策】
理性感情行動療法(論理療法)
理性感情行動療法(論理情動行動療法)とは、REBT(Rational Emotive Behavior Therapy)を日本語訳したもので、日本では論理療法と呼ばれることが多いです。心理学関連の書籍でも、論理療法と書かれたものを多く目にします。
◆以下、論理療法と呼びます。
論理療法は、Ellis,A.が提唱した療法です。Ellis,A.は、Skinner,B.F.やWolpe,J.などが行動療法を体制化した流れを受けて、「認知」の部分に着目しました。
ABC理論
論理療法には、軸となる考えとしてABC理論があります。ABC理論とは、『A:出来事』→『B:認知』→『C:結果』というように、出来事と結果の間には「認知」があるとする理論です。
例えば、久しぶりに会った親戚に「大きくなったね」と言われたとしましょう。多くの人は「背が伸びたね」と捉えると思いますが、中には「太ったね」と捉える人もいます。前者は喜んだり照れたりするでしょう。後者は悲しんだり怒りを感じたりするでしょう。
『認知』というのは、このように「捉え方」を指します。認知がCに当たる結果(感情や行動)に影響します。認知には、これまで生きてきた上での経験や現在の状況などの影響も受けます。
例えば、ずっと太っていたり、気になる年頃だったり、つい最近そういう話をしたばかりだったりすると、「太ったね」と捉えてしまいやすいですよね。
不合理な信念
Ellis,A.は、精神的不適応に至っている患者は、「認知」に影響するものとして『不合理な信念』を持っていることに気づきます。
『不合理な信念』とは、合理的でない思い込みや考え方の癖みたいなことです。
例えば、強迫性障害がある患者は、「1時間かけて手を洗わないと菌が残っている」など語るかもしれません。これは不合理な信念といえます。
合理的に考えると、泡をつけて1分も洗えば、菌は99%ほど洗い流せます。それに手の脂を洗い流し過ぎてしまうと乾燥の原因となり、手はボロボロになってしまいます。
■実際は、強迫性障害の方は、こうした行為が不合理であることを自覚していることが多いです。自覚していてもやめられない。
論駮(ろんぱく)
論駮とは、不合理な信念を持つ患者に対して、合理的な論拠や合理的な方法をぶつけ、不合理な信念を減少させる手続きです。こうすることで、「認知」を変え、偏った感情や行動を減少させることができます。
ABCDE
論理療法では、ABC理論より詳細に構造化することを目指したABCDE理論を考慮しています。
- A affairs(出来事)
- B belief(信念)
- C consequence(結果)
- D dispute(反駁)
- E effective new belief
公認心理師試験対策
現在では、認知行動療法が生まれたため、論理療法を主として行うカウンセラーは少ないですが、認知行動療法に繋がっていくABC理論、不合理な信念、論駮という考え方は憶えておく必要があります。
公認心理師試験では、療法を生み出した人物の名前が選択肢に並べられたり、その理論について問われることがあります。論理療法については、憶えることは少ないので、確実に憶えておきましょう。
確認問題
【例題】
- ①論理療法は、誰が提唱したか?
- ②基礎となっている理論は何か?
- ③不合理な信念とは、どういうことか?
- ④論駮とは、どういうことか?
- ⑤論理療法の別の呼び方は何か?
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