ベックの認知療法【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

認知療法

認知療法は、Beck,A.T.によって発展しました。認知療法は、「人の行動や感情は出来事に対する認知によって生起する」という理論がもとになっています。

認知療法では、不適応的な認知を「認知の歪み」や「認知の偏り」として考え、瞬時に頭に浮かぶ認知の癖を「自動思考」としました。

自動思考には、いくつかの種類があるとし、その自動思考を減少させることで、精神疾患者や不適応に至る人の症状を和らげようとしたわけです。認知療法は、メランコリー型のうつ病(真面目な人、完璧主義な人に多いうつ病のタイプ)に対する有効性が示されています。

現在、日本で行われる認知療法では、日記をつけて、その日記をカウンセラーとともに読みながら、自動思考を減少させる実践が行われています。

自動思考の種類

根拠のない決めつけ

明確な根拠がないにもかかわらず、自分の中で判断し、信じ込んでしまうこと。

■努力をする前から「自分にはできない」と諦めてしまう。根拠よりも不安などの感情で行動が制限されてしまう。

全か無かの思考(白黒思考)

全か無、白か黒、良いか悪い、など両極端の考えをしてしまうことで、中間の部分は評価しなかったり、考慮しなかったりする。

■少し上手くいかなければ、全部がダメだと思う。少しでも上手くいかないのであれば、初めからしないほうがいいと思う。

一般化思考

少しの事実があると、全てが同じようになると考えること。

■仕事での一度の失敗で、この先も失敗が続くと思いこんだり、高校受験で上手くいかなかったことで、その後の人生が終わったと思いこむこと。

過大解釈と過小解釈

自分の失敗や悪いことは過大に解釈し、自分の成果や良いことは過小に解釈する思考のこと。

■沢山の成果を残しているにもかかわらず、失敗ばかりに目を向けてしまったり、褒めてもらったことより叱られたことが記憶に残りやすくネガティブになりやすい。

すべき・べきではない思考

「〜すべきだ」「〜べきではない」と、義務的に行動を決めてしまう思考のこと。

■男性は強くあるべき、女性は家事するべき、若者は楽をするべきではない、など義務的な考えがあり、自分や他者の行動を制限してしまう。

自己関連づけ

自分に関係がない、関係が薄い良くないことが起こったときに、自分の責任だと思い込むこと。

■たまたま友達がイライラしているとき自分のせいと思ったり、友達が事故に遭ったとき、自分が外出を止めていれば、と責任を過度に感じたりする。

レッテル貼り

自分に対して先入観を持つこと。

■自分は何もできない人間だ、自分は人気のない人間だ、などの先入観があり、身動きができなくなってしまう。

公認心理師試験対策

認知療法については、Beck,A.T.が発展させたこと、自動思考、うつ病に有効であることを憶えておきましょう。

【確認問題】

  • ①認知療法は、認知の歪みを減少させることを目的としている。(○or✕)
  • ②自動思考には、レッテル貼りや一般化思考がある。(○or✕)
  • ③全か無かの思考がある人では、中間の部分の評価がされづらい。(○or✕)
  • ④認知療法は、日記を介して行われることがある。(○or✕)
  • ⑤過大解釈では、自分の成果を過大解釈する傾向がある。(○or✕)