クライエント中心療法【公認心理師試験対策】
クライエント中心療法
クライエント中心療法は、Rogers,C.R.が提唱しました。日本では、来談者中心療法とも呼ばれます。また人間性心理学とか人間性アプローチとか言われることもあります。正確には、人間性アプローチはクライエント中心療法やフォーカシングなどいくつかあります。
クライエント中心療法は、治療の目的を「自己受容」であるとしています。この自己受容とは、自分をありのままに受け入れ、肯定的に導けられる態度のことを指します。いわば、人がもともと持っている自己実現への欲求までが考慮されているわけです。
また、Rogers,C.R.は、エビデンスを重要視した心理療法家としても有名です。これまで精神分析や行動療法においても経験主義的な手法が多く、根拠が曖昧でしたが、Rogers,C.R.は心理療法には有効性を示す根拠が必要だと訴えたのです。
自己概念と理想自己
Rogers,C.R.自身、心理療法の研究を行い、その実践を書籍にまとめています。その中でも注目されたのは、「自己概念と経験の不一致」、「理想自己と現実自己の不一致」に関する研究です。
■自己概念とは、自分に対するイメージのようなことです。この自己概念と自分の経験が一致していないとき、その不一致が大きいほど、人は不適応に至ります。
■理想自己とは、自分がこうありたいと願う自己像のことです。この理想自己と現実の自己一致していないとき、その不一致が大きいほど、人は不適応に至ります。
傾聴
クライエント中心療法では、「傾聴」が重要とされています。Rogers,C.R.によれば、傾聴に対する態度により、治療効果が高まるとし、その条件を3つ示しています。
傾聴は、単なるオウム返しとは違います。クライエントの心の声に耳を傾け、語り返しを行うことで、考えていることを整理させたり、上手に言語化できないものを代わりに言語化してあげたりすることが本来の目的です。
①共感的理解
クライエントの想いや感情、思考、物語などの内的世界を、治療者があたかもクライエントそのもののように共感的に理解しようとする態度です。同情とは違います。
②無条件の肯定的受容
たとえクライエントの思考が悲しみや復讐心といった偏ったものであっても、無条件に肯定し、まず受け入れることから、信頼関係が構築され、自己受容に向かうとしました。
③自己一致(純粋性)
治療者が自分を偽っていては、クライエントから信頼を得られません。嘘を言うことも信頼を壊します。そして、状況に応じて、感じたことを率直に言葉にすることも大切です。
公認心理師試験対策
クライエント中心療法については、まだ詳しい出題がありません。とはいえ、公認心理師にとって重要な療法ですから、今後は出題される可能性が高いと考えられます。
確認問題
- ①クライエント中心療法では、人が持つ自己実現にアプローチする。(○or✕)
- ②傾聴では、クライエントの話をそのままオウム返しする特徴がある。(○or✕)
- ③自己受容とは、自己をありのままに受け入れる態度のことである。(○or✕)
- ④クライエント中心療法では、理想自己と現実自己を一致させることが目的となる。(○or✕)
- ⑤自己概念とは、自分が自分自身に対して持つイメージのことである。(○or✕)