Hirschiの社会的絆理論(Social Bond Theory)【公認心理師試験対策】第3回:問141

2021年9月24日

社会的絆理論(Social Bond Theory)

社会的絆理論は、Hirschi(1969)によって提唱された理論です。社会的絆理論は、個人が社会に繋ぎ止められている4つの社会的絆が途切れたとき、もしくは弱まったときに非行が起こるとした理論です。

社会的絆には、①愛着(Attachment)、②コミットメント(Commitment)、③巻き込み(Involvement)、④規範観念(Belief)の4つがあります。

①愛着(Attachment)

愛着は、家族や友人、仲間といった他者との間にある感情的な絆です。多くの場合、親に愛され、自身も親に愛着を持つことで、他者への愛着を学んでいきます。

他者に愛されること、他者を愛することが非行への抑止力となることや、社会的に健康でいられることに繋がります。

②コミットメント(Commitment)

コミットメントとは、大きく捉えると「行動・達成すること」ですが、ここでは行動を選択する際に損得を考慮することや社会的に好ましい目標を達成するために関わりを持とうとする程度といった意識的な絆のことを指します。

目標があったり意思決定できたりすることは、社会的にも精神的にも健康を維持することができ、他者からの称賛などを得られることもできます。これは、人の承認欲求を満たす上でも重要な絆で、コミットメントが奪われてしまうと、不満や反抗心が生起することになります。

③巻き込み(Involvement)

巻き込みは、社会的な役割を全うしている状態であり、その役割に従事し、忙殺されているという社会的拘束としての絆です。

何かに従事することで非行を企む時間や余裕が生まれません。昔は、国として経済的余裕があるにもかかわらず税収を増やしたりして国民を故意に多忙化させるなどの統制の仕方をしていた国もありました。

④規範観念(Belief)

規範観念は、法や道徳性を重んじる人は自分の中に正義や道徳的価値観を持っており、非行に至らない意識的な絆となっています。

どれだけ困窮していても、正義や道徳的価値観があれば、間違った行動に及ばず、法や道徳の許す範囲で主張や訴えを起こすに留まることでしょう。

■日本の研究では、社会的絆理論を支持する研究もありますが、結果が一致しない研究もみられます。