ヒューマンエラーの理論【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

ヒューマン・エラーの理論

ヒューマン・エラーは、作業の予測と結果の間に生じる不具合のことで、Swain,A.D.はヒューマン・エラーを、①オミッション・エラー(omission error)、②コミッション・エラー(commission error)の2つに分類しています。

①オミッション・エラー(omission error)

オミッション・エラーは、必要な行為を起こさなかったことによる不具合のことです。行為を省略することで生じるエラーであることから、省略のエラーと訳されることもあります。

②コミッション・エラー(commission error)

コミッション・エラーは、行為が誤って実行されたことによる不具合のことです。実行の過程に問題があることから実行のエラーと訳されることがあります。以下のミスがあります。

  • 不必要な行為があった。
  • 行為の順序・手順を間違えた。
  • 行為のタイミングに誤りがあった。
  • 行為の対象(選択)を間違えた。
  • 行為の強度や時間に誤りがあった。

ハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則は「重大事故の背景には、規模の小さい事故がある」とした法則のことで、ハインリッヒ(Heinrich,H.W.)は1つの重大事故が起こる際には、300ほどのヒヤリハット(ヒヤッとしたり、ハッとしたりするような出来事)があり、29ほどの重大事故に発展する可能性のある軽微な事故があるとしました。

古典的ドミノ理論

古典的ドミノ理論は、ハインリッヒが提唱した理論です。災害や事故の原因をドミノが順番に倒れていく様に例えています。ドミノには、①家庭や社会環境②人間の欠陥③不安全行為④事故⑤障害と災害、があります。「①家庭や社会環境」や「②人間の欠陥」については対策が難しいが、「③不安全行為」を除去することで、「④事故」や「⑤障害と災害」を防ぐことができると考えられています。

エラータイプ

Reason,J.は、ラスムッセンのラダーモデルに基づいてエラーを、①スリップ(Slip)、②ラプス(Lapse)、③ミステイク(Mistake)に分類しています。

①スリップ(Slip)

スリップは、口がすべる、文字を打ち間違えるなどの意図どおりならないエラーです。これは、スキルベースの行為におけるエラーです。

②ラプス(Lapse)

ラプスは、記憶の過程で、十分に記憶できておらず思い出せないというエラーです。これは、スキルベースの行為におけるエラーです。

③ミステイク(Mistake)

ミステイクは、判断や決定の際の誤りによるエラーです。これは、ルールベースと知識ベースの行為におけるエラーです。