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人工妊娠中絶と母体保護法【公認心理師試験対策】

2021年4月9日

はじめに

自分の子どもが障害児として診断を受けた場合、多くの母親はその事実を受け入れることができない、もしくは時間がかかるとされている。

Drotarら(1975)では、先天的奇形の子どもの母親20名と父親5名に面接調査を実施し、①ショック、②否認、③悲しみと怒り、④適応、⑤再起、という過程を経ると示唆された。

勿論、この障害受容の考えは、障害の種類や重症度によっても異なるだろうと推測できる。また、障害受容を促進する方法を検討した研究もあるが、子どもに対する愛情の度合い、親の責任感、養育の支援体制など、あらゆることが複雑に絡まり合い、受容ができるかどうかを考えなければならない。

一般的には母親は子どもを宿した瞬間から「母親」となり、その責任を背負うこととなる。しかしながら、宿した子どもが重い障害を抱えているとわかったとき、出産を躊躇する母親もいる。

人工妊娠中絶と母体保護法

その方法は『出生前診断』と言われ、NIPT(Non Invasive Prenatal genetic Testing:無侵襲的胎児遺伝学的検査)が主となっている。

この出生前診断において、宿した子どもが重い障害を抱えているとわかったとしても、障害を理由に人工妊娠中絶を行うことはできないが、母体保護法の解釈として、医師が認定し、配偶者の同意を得た場合に人工妊娠中絶を受けることができる(未成年はこの限りではない)。

ただし、以下の条件を満たし、指定医の認定するところにより行われる。

  • ①妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの。
  • ②暴行もしくは脅迫によってまたは抵抗もしくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの。
  • (同意は、配偶者が知れないもしくはその意志を表示することができないときまたは妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の同意だけで足りる。)

事実として、重い障害を持つ子どもを育てるには経済的理由が生じる。国からの支援があったとしても、治療方法が確立していなかったり、医療費や介護福祉サービスのかかる費用は、かなりの金額になる。

この経済的理由は、家庭事情も考慮される。家庭の収入や夫婦の年齢(いつまで働けるか)などである。また皮肉なことに、障害児に対する養育での困難や養育に対する考えの違いなどから離婚に至るケースもある。養育費が元配偶者から支払われないこともある。

考え出せばきりがないかもしれないが、将来を見据えるとはこういうことなのかもしれない。それが最終的に、子どもの未来をつくり、責任を持つということでもある。

倫理的な考えとして正解はないが、生命を宿したから障害があると分かっても産むべきだ、という人もいれば、苦しい人生を歩ませる可能性が高いのであれば産まない選択をしてもよい、という人もいる。