【認知症の心理検査】HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)を分かりやすく解説します。【公認心理師試験対策】

2021年1月7日

HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)は、認知症の鑑別検査に使用されます。公認心理師試験では、認知症の心理検査として、このHDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)とMMSEを必ず憶えておきましょう。

HDS-Rの構成

設問は、①年齢、②時間の見当識、③場所の見当識、④3つの言葉の記銘、⑤計算問題、⑥数字の逆唱、⑦3つの言葉の遅延再生、⑧物品記銘、⑨言語の流暢性の9個です。

①年齢では、「お歳はいくつですか?」と質問して、前後2年まで正解とします。高齢者が多いので、そもそも年齢に対する意識が曖昧だったりするからです。

②時間の見当識では、「今日は何年の何月何日ですか?何曜日ですか?」と質問して、それぞれ1点ずつ配点があります。

③場所の見当識では、「私たちが今いるところは、どこですか?」と質問して、自発的に答えられた場合は2点、質問から5秒後に「家ですか?」「病院ですか?」「施設ですか?」と順に聞き、正しいものが選択できれば1点として採点します。

④3つの言葉の記銘では、「これから言う3つの言葉を言ってみてください。○△□、どうぞ。」と回答を促します。○△□は、パターンA(桜、猫、電車)かパターンB(梅、犬、自動車)から選びます。その後、「またあとで聞きますので、よく覚えておいてください。」と指示します。

⑤計算問題では、「100から7を順番に引いてください。100―7は?それからまた7を引くと?」と聞いていきます。96で1点、86で2点で採点します。最初で答えられない場合、打ち切ります。

⑥数字の逆唱では、「私がこれから言う数字を逆から言ってください。」と指示したあと「6-8-2、はい。」「3-5-2-8、はい。」と回答を求めます。1つ目で失敗したら打ち切ります。

⑦3つの言葉の遅延再生では、「先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。」と指示して、④の記銘再生のときに覚えてもらった3つの言葉の回答を求めます。自発的に回答し正解すれば2点、ヒント(植物、動物、乗り物)があって正解した場合は1点で採点します。

⑧物品記銘では、「これから5つの品物を見せます。それを隠しますので、何があったか言ってください。」と指示して、隠したあとに回答を求めます。見せる品物は、時計、鍵、タバコ、ペン、硬貨などです。相互に関連しない物がよいです。「など」と言われていますが、できればこの通りで行うとよいです。

⑨言語の流暢性では、「知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。」と指示して、回答を実施者が記録します。回答数が0〜5で0点、6で1点、7で2点、8で3点、9で4点、10で5点です。10秒間に次の答えが出ない場合は、「ここまでで結構です。」と打ち切ります。

注意点と公認心理師試験対策

採点の仕方に注意です。また、できる限り用意されている教示文をそのまま使用するほうがいいです。MMSEでは、見本の図形を真似して書く課題があるのですが、HDS-Rではありません。これが臨床心理士試験や予想問題集などで問われています。

また、公認心理師試験では、事例問題で得点が書かれていて、合致する状態を選択肢か選ぶ問題があります。そこで、出題される可能性があるので、何点で認知症が認められるのかなどを練習しておきましょう。

■20〜30点で異状なし、16〜19点で疑いあり、11〜15点で中程度、5〜10点でやや高度、0〜4点で高度、となっています。

確認問題

  • HDS-Rの設問の数は?
  • HDS-Rの言葉の流暢性では、何を挙げていくのか?
  • HDS-Rの計算問題では何回まで回答を求めるか?
  • HDS-Rを実施したところ23点だった。重症度は?
  • HDS-Rを実施したところ9点だった。重症度は?