【認知症の心理検査】MMSE(ミニメンタルステート検査)を分かりやすく解説します。【公認心理師試験対策】
MMSE(Mini-Mental State Examination)は、認知症の鑑別検査に使用されます。公認心理師試験では、認知症の心理検査として、このMMSEとHDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)を必ず憶えておきましょう。
MMSEの構成
MMSEでは、①時間の見当識、②場所の見当識、③即時想起、④計算、⑤遅延再生、⑥物品呼称、⑦文の復唱、⑧口頭指示、⑨書字指示、⑩自発書字、⑪図形模写、の質問項目があります。
①時間の見当識では、「今日は何日ですか?」「今年は何年ですか?」など、記憶しているはずの見当識があるかをチェックします。
②場所の見当識では、「ここは都道府県でいうと何ですか?」「ここは何市ですか?」「ここはどこですか?」など、把握しているはずの見当識があるかをチェックします。
③即時想起では、「私が今からいう言葉を覚えて繰り返し言ってください。」「さくら、ねこ、電車、はい。」と、短期の記憶をすぐに想起できるかをチェックします。「今の言葉は、後で聞くので覚えておいてください」と伝え、⑤遅延再生のときに用います。
④計算では、「100から順番に7をくり返し引いてください」と、簡単な計算ができるかをチェックします。65までの5回を実施してもらいます。
⑤遅延再生では、「さっき私が言った3つの言葉は何でしたか」と、③即時想起で覚えたことを復唱できるかをチェックします。
⑥物品呼称では、時計(又は鍵)を見せながら 「これは何ですか?」、鉛筆を見せながら 「これは何ですか?」と2問を出題し、名称を答えられるかをチェックします。
⑦文の復唱では、「今から私がいう文を覚えてくり返しいってください。『みんなで力をあわせて綱を引きます』」と出題し、そっくりそのまま復唱できるかをチェックします。
⑧口頭指示では、「今から私がいう通りにしてください。右手にこの紙を持ってください。それを半分に折りたたんでください。そして私にください」と、指示を順番どおりに実行できるかをチェックします。
⑨書字指示では、「この文を読んで、この通りにしてください」と指示をして、『目を閉じてください。』と印刷された紙を見せます。字を読んで実行できるかをチェックします。
⑩自発書字では、「この部分に何か文章を書いてください。どんな文章でもかまいません」と指示をして、空欄に書いてもらいます。文章を作成し、記述できるかをチェックします。
⑪図形模写では、「この図形を正確にそのまま書き写してください」と指示をして、見本の図形を見せます。そして、見本どおりに模写できるかをチェックします。
テスターの注意点
MMSEを実施する際、テスターは可能な限りMMSEに記載されたとおりに実施する必要があります。途中で質問をされた場合は、もう一度、教示文を読むようにしてください。教示が理解できるかということも、得点に現れます。
また、被験者は、理解できないことを誤魔化そうとすることがあります。その場合は、教示どおりに実施することを優しく促してください。それでも、実施が難しい場合は、MMSEを中止する場合もあります。
各項目おける注意事項の詳細は、MMSEを実際に読んでみてください。最後のページに実施に関する注意事項が記載してあります。MMSEは、無料で公開されています。
とはいえ、素人が家族などの高齢者に実施するのは、よくありません。適切に福祉や医療機関の医師や心理士の見立てがあった上で行ってください。
MMSEを実際に見てみましょう。
MMSEは、あらゆる試験で頻出の心理検査ですので、公認心理師試験でも、今後は細かい部分が出題される可能性があります。
採点や判定も、MMSEの最後に記載されています。公認心理師試験の事例問題では、心理検査の得点のみが書かれていて、その状態を選択肢の中から選ぶ問題が出題されています。ここに、MMSEの得点が書かれる可能性もあるので、ちゃんと把握しておきましょう。
確認問題
- ①MMSEは、何を鑑別する心理検査か?
- ②MMSEは、何項目で構成されているか?
- ③MMSEの「計算」では、何回まで実施するか?
- ④MMSEの「図形模写」の採点の際の注意点は?
- ⑤実施時に被験者が、関係のない話をした場合どうする?
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