Bateson,G.のダブルバインド(二重拘束)理論【公認心理師試験対策】
ダブルバインド理論
ダブルバインド理論(二重拘束理論)は、ベイトソン(Bateson,G.)によって提唱された。
ダブルバインド理論とは、メッセージとメタメッセージが矛盾する状況におかれることである。ダブルバインドの状況におかれた人は統合失調症に似た特徴を示すようになるとも指摘されている。
ダブルバインドに至る状況は以下を指す。
- ①2人以上の人間で、
- ②繰り返し経験し、
- ③最初に否定的な命令(メッセージ)が出され、
- ④矛盾する否定的命令(メタメッセージ)が出される。
- ⑤「逃げ出してはいけない」という命令が存在する。
- ⑥この矛盾を世界共通と認識してしまう。
メタメッセージもまたBateson,G.が提唱した。メタは「高次の」という意味があり、メッセージが伝える本来の意味を超えて、別の意味を伝えるメッセージのことをメタメッセージという。
メッセージ「A」があるとすると、メタメッセージは「A’+」のイメージである。メタメッセージは、言葉の選び方、声の調子、トーン、表情、話すスピード等の要素が影響する。また非言語の場合もある。
例えば、母親が幼少期の子に対して手を繋いだ状況(避けられない状況)で「ゆっくり歩いて!」と命令する(メッセージ)。ただ母親は手を引っ張り子が想像する「ゆっくり」より速いスピードで歩く(メタメッセージ)。
子は「ゆっくり」と言われたのに「ゆっくり」歩くことができず、何が正しいのか理解できなくなる。この支配的な混乱が起こる状況をダブルバインドという。
統合失調症の患者の家族には、ダブルバインドを引き起こすコミュニケーションパターンが多いと示唆されている。例の母親のようなダブルバインドを繰り返すことで、子は事柄の矛盾を探すような解釈や否定的な未来イメージを構築しやすくなる。