【少年事件】『保護処分』を分かりやすく解説します。【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

保護処分とは、家庭裁判所に送致された少年の更生を目的に行われる少年法による処分のことです。

■少年事件には、犯罪少年事件触法少年事件虞犯少年事件があります。

犯罪少年罪を犯した14〜20歳未満の少年
触法少年事件時に14歳未満で罪にならない少年
虞犯少年罪を犯すおそれのある20歳未満の少年

虞犯少年は、保護者の監督に従わないなどの不良行為があるほか、性格(攻撃性や反社会性など)、環境(暴力団や暴走族など)を考慮した上で、罪を犯す可能性が高いと判断された少年を指します。

保護処分

保護処分には、保護観察、少年院送致、児童自立支援施設送致の3つがあります。例外的に、成人犯罪と同等に刑事処分が妥当と判断される場合には、検察官送致になることもあります。

①保護観察

保護観察になるのは、保護観察官や保護司の指導・監督のもと、家庭や施設などで生活をすることで更生できると判断された場合です。更生保護とも言われ、生活や交友関係などの指導を受けながら更生を目指します。

保護観察所は、法務省が管轄しており、全国に50ヵ所あります。保護観察、更生緊急保護、犯罪予防活動などを担っています。

保護観察官は、心理学、教育学、福祉学などの専門知識を持つ国家公務員です。保護司は、保護観察官との連携のもと更生保護を支援する民間のボランティアです。

②少年院への送致

少年院送致になるのは、懲役禁錮に当たる刑が定められている罪が対象です。少年院は、保護処分として送致された少年の健全な育成を図ることを目的に、矯正教育や社会復帰支援などを行う法務省が管轄する施設です。

生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導など学校教育に準拠した内容で指導され、円滑な社会復帰を目指します。

◆少年院には、第1〜4種があります。

第1種少年院は、保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね12〜23歳未満の者が対象です。

第2種少年院は、保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪傾向が進んだおおむね16〜23歳未満の者が対象です。

第3種少年院は、保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12〜26歳未満の者対象です。

第4種少年院は、少年院において刑の執行を受ける者が対象です。

③児童自立支援施設への送致

児童自立支援施設送致になるのは、虞犯少年のような犯罪や不良行為を行うおそれがある場合です。児童自立支援施設は、入所や通所をさせ、少年の自立を支援する児童福祉施設です。

家庭裁判所による保護処分として以外にも児童相談所の措置による入所もあります。

児童自立支援施設は、児童福祉法により各都道府県に設置することが規定されており、全国に58ヵ所あります。東京都には、厚生労働省が管轄する国立の児童自立支援施設があります。武蔵野学院(男子)ときぬ川学院(女子)です。他は都道府県や政令指定都市による設置です。僅かながら私立もあります。

検察官送致

■検察官送致になるのは、死刑、懲役、禁錮に当たる刑が定められている罪が対象です。犯行時に16歳未満の少年が故意に被害者を死亡させた場合などです。

参考引用文献