児童養護施設【公認心理師試験対策】
児童養護施設
児童養護施設は、児童福祉法に定められる児童福祉施設の一つです。児童福祉法によると、『児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童など、環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設』と定義されています。
児童養護施設では、1〜満18歳未満の子どもが入所します。ただ、高校生の場合は、高校を卒業し、進路先に移住するまでの間、児童養護施設で支援を受けることができます。多くの場合は、高校卒業後に就職し、自立していくことになります。(情緒的な問題や病気などの理由がある場合、20歳まで延長されることもあります。)
■乳児(1歳未満)は、乳児院に一時的に入所します。
児童養護施設には、一人親家庭の保護者がやむをえない理由(病気・負傷など)で児童を養育できなくなったときの「ショートステイ」、一人親家庭の保護者が残業などで帰宅が恒常的に夜間にわたるとき、放課後に児童を通所させ、生活指導・夕食の提供などを行う「トワイライトケア」を行っているところもあります。
児童養護施設への入所は、児童相談所において決定されます。虐待や親との死別により保護されるので、精神的なケアが必要です。児童養護施設には、児童指導員(保育士や教員免許)、管理栄養士、臨床心理士や公認心理師が配置されていて、職員が入れ替わりで支援を行います。
臨床心理士や公認心理師は、非常勤の場合も多いようで、定期的に介入したり、必要に応じて継続的に介入する体制になっています。
児童養護施設の課題
児童養護施設を退所した際、18歳だと未成年の扱いになります。また住所がないために、住民基本台帳への登録、印鑑証明書ができない、健康保険証を持つことができない、保証人が必要な賃貸アパートを借りることができない、生活保護を受けられないなどの問題が残ります。
しかし、今では、児童養護施設を対象した場合の継続的な支援が必要ということで、各自治体が様々な支援を展開しています。例えば、当カウンセリングルームがある三重県松阪市では、クラウドファンディングで支援金を募り、児童養護施設の退所者に向けて支援をしています。
■三重県松阪市は、令和2年7月にクラウドファンディングを実施し、集まった2,103,000円の協力金を退所者や里親を解除された人に自立の応援として、家賃などの生活費の支援を行っています。また、クラウドファンディング以外にも、退所者や里親を解除された人に自立支援金(退所時10万円)や大学等就学支援金(月5万を就学年ぶん)を返還不要で支給しています。
また、NPO団体が退職後の心のケアや就職支援などを行っている場合もあります。退所者は、心に負担を抱えていることが多く、生きていくために自分がしたくない仕事を選んだり、自分を大切にできない心象から望まない妊娠などが多いとされています。こうした退所後の支援は、今後も発展していってほしいものです。
日本では、里親制度もありますが、法律上の条件も難しく、他の先進国に比べて里親で育つ子どもは少ないとされています。
児童養護施設での生活
児童養護施設によって様々ですが、僕が話を聞いたことがある児童養護施設では、入所者は、児童養護施設で児童指導員などの支援を受けながら、学校等に通います。施設に帰宅したあとは、宿題や勉強をしたり、皆で遊んだりして、子どもらしく過ごすようです。
土日祝は、イベントが企画されたりして、動物園や水族館に行ったり、ハイキングやバーベキューを楽しむこともあるようです。また支援団体が講師として有名人を呼んでくれたりして、楽しい要素が確保されているようです。
また、退所が近づくにつれて、今後の人生で必要な手続きなどを教えてもらえる機会が設けられたり、支援が充実しているようです。上述の課題があるように、全てが上手くいくわけではありませんが、力を入れる自治体も増えてきています。