クレプトマニア(窃盗症、病的窃盗)【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

クレプトマニア(kleptomania)は、窃盗症、病的窃盗とも言われる精神障害です。物品を盗むという行為に及ぶ際、快感、満足感、開放感などがあることで、行動が強化され、やめられなくなります。

クレプトマニアの特徴

万引や友人の家から物を持ち帰るなど、窃盗の体験により行動が強化されていきます。通常の窃盗は、生活困窮者が食べ物を万引したり、利得目的で金品やお金に替わる物を窃盗したりしますが、クレプトマニアは、生活に困っていない人にも起こり得ます。

クレプトマニアの診断

アメリカ精神医学会が規定する診断基準「DSM−Ⅴ」では、以下のように記載されています。

  1. 個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗ろうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
  2. 窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり
  3. 窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感
  4. その盗みは、怒りまたは報復を表現するためのものではなく、妄想または幻覚への反応でもない。
  5. その盗みは、素行症、躁病エピソード、または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない。

クレプトマニアの原因

クレプトマニアは、脳の神経伝達物質が影響しています。ドーパミンという神経伝達物質は、ギャンブル依存症でも分泌異常がみられます。ドーパミンは、「手が届きそうで届かない」という『渇望状態』において多量に分泌されます。

通常は、セロトニンという神経伝達物質がドーパミンの調整をしているわけですが、窃盗は非常に強い『渇望状態』を作るために、ドーパミンが過剰分泌もしくはセロトニンとのバランスが崩れることで、窃盗への依存が起こると考えられています。

クレプトマニアの治療

クレプトマニアは、周囲に相談できないこともあり、多くの場合は重症化してしまいます。公認心理師は、再発防止を目指して、カウンセリングを行うことになります。

カウンセリングにおいては、認知行動療法が有効とされています。窃盗に関連する衝動性を抑える訓練をしたり、窃盗に至ったストレスやネガティブ感情などの根本の原因に対するアプローチをします。

また「買い物をするときは誰かと一緒に行く」、「宅配サービスを利用する」など環境の調整の支援をすることも有効だと考えられます。