離人感・現実感消失障害【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

離人感・現実感消失障害

離人感・現実感消失障害は、自分の主観的感覚が身体や精神から切り離されているように感じる障害です。

この状態が持続的かつ反復的にあり、自分をあたかも別視点から観察しているかのように感じる「離人感」と自分が社会的現実から切り離されているように感じる「現実感消失」の2つが特徴となります。

一般的には、『離人症』と呼称されることもありますが、これはアメリカ精神医学会が規定する診断基準であるDSM−Ⅳときに、『離人症性障害』されていたためです。現行のDSM−Ⅴでは、解離性障害の1つとして分類され『離人感・現実感消失障害』となりました。

解離性障害の全般的に言えることは、その原因が大きなストレスによるということです。例えば、虐待や生命を脅かすような出来事を経験・目撃した経験、家族・恋人との死別、人間関係による強いストレスなどでも、発症することがあります。

自分の人生や考え、言動などに主体性がなくなり、自分のことなのに他人事のように話したりします。心がどこかにいってしまったかのような状態です。解離性障害は、自分の心を守るための防衛反応として現れていると考えられています。

そのため、無理に現実に直面させたりすると、本人を傷つけることになり、自傷など危険を伴う場合があります。

離人感・現実感消失障害の診断

『DSM−5 精神疾患の分類と診断の手引』から引用

A.離人感、現実感消失、またはその両方の持続的または反復的な体験が存在する。

離人感:自らの考え、感情、感覚、身体、または行為について、非現実、離脱、または外部の傍観者であると感じる体験のこと。

現実感消失:周囲に対して、非現実または離脱の体験のこと。

B.離人感または現実感消失の体験の間、現実検討は正常に保たれている。

C.その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D.その障害は、物質または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。

E.その障害は、統合失調症、パニック症、うつ病、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、または他の解離症のような、他の精神疾患ではうまく説明できない。

■持続時間については、様々で数日のこともあれば、数ヵ月、数年にわたることもあります。

■現実検討が保たれるとは、物事を合理的に思考することができるなど混乱状態ではないということです。臨床心理士試験や公認心理師試験では「現実検討能力がある」というように記載されています。

離人感・現実感消失障害の治療

治療については、主に心理療法が行われています。認知行動療法やグラウンディング、精神分析的療法などが施されています。

投薬療法については、あくまでも併有するうつ病などに有効として使われています。離人感・現実感消失障害に対する有効性は示されていません。