神経性無食欲症(拒食症)【公認心理師試験対策】
神経性無食欲症
神経性無食欲症は「神経性痩せ症」や「拒食症」、英語圏では「Anorexia nervosa ; AN」といわれています。発症は10〜25歳(特に思春期)に多く、女性に多いとされています。
神経性無食欲症は、歪んだボディイメージを持ち、その病識が乏しく、痩せることのリスクを惜しまない不合理な努力をすることが多いです。また、自己評価が低く、既に通常あるいは痩せている状態でも「痩せたい願望」を持っています。
摂食障害については、食欲に関する病気ではなく、精神的な病気であるという認識が必要であるとされています。特に青年期は自分に注意が向きやすくなる発達段階で、他者と比べることによる劣等感を抱きやすいです。
この劣等感による自己評価の低下、いわゆる自尊感情の低さが影響しているという指摘もあります。また完璧主義や強迫性障害にみられる行動の強化が影響しているとの指摘もあります。
身体的な影響としては、思考力の低下、生理不順、体毛が濃くなる、顔や手足が浮腫む、吐きダコがある、胃酸で歯が溶ける、胃炎が起こるなどがあります。
支援・治療については、抗うつ薬による投薬治療や認知行動療法などの心理療法が行われています。また、栄養失調や合併症が起こることがあるため、医療との連携が必須です。
公認心理師としてできることは、カウンセリングのほか、本人や家族に対して心理教育を行ったり、通院や治療への動機づけをすることが重要です。
■完璧主義や強迫性障害のように、治療に対する抵抗が示されることがあり、その根底にある自己評価の低さなどを共感的に理解しながら、治療に繋げていく必要があります。
神経性無食欲症の診断
アメリカ精神医学会が規定する診断基準であるDSM−5では、「摂食制限型」と「過食・排出型」の2つの型があります。
「摂食制限型」は、絶食をするなど過度の摂食制限をして体重を維持・減少しようとします。「過食・排出型」は、暴飲暴食など過食をした際に自己誘発嘔吐(指を口に入れる)や下剤を用いるなど排出をしようとします。
■神経性無食欲症の特徴は、診断基準であるDSMとICDで微妙に異なるので、注意が必要です。
DSM−5では「平均体重より15%以上下回る体重であること」や「BMIが17.0未満であること」、ICD−10では「BMIが17.5未満であること」が体重に関する診断基準として示されています。
■BMI=体重(kg)/[身長(m)✕身長(m)]
DSM−5には、摂食制限型は「過去3ヶ月間で過食または排出の反復的なエピソードがないこと」、過食・排出型は「過去3ヶ月間で過食または排出の反復エピソードがあること」などが考慮されています。
公認心理師試験対策
神経性無食欲症は、精神的な揺らぎがきっかけになることがあり、うつ病など他の精神疾患を併有していることがあります。慎重なアセスメントと治療計画を本人、家族、医師、管理栄養士などと連携しながら進めていくことになります。
確認問題
- ①神経性無食欲症の人の体重は、平均体重より15㎏以上低い。(○or✕)
- ②完璧主義や几帳面といった特性が関係する。(○or✕)
- ③医師や管理栄養士などと連携して支援することが大切である。(○or✕)
- ④自己誘発嘔吐がある場合、胃酸により歯が溶ける。(○or✕)
- ⑤公認心理師にできるのは、認知行動療法による支援のみである。(○or✕)
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