発達性協調運動障害【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

発達性協調運動障害

発達性協調運動障害(Developmental coordination disorder)とは、協調運動の獲得や遂行が年齢や学習および使用の機会に応じて期待されるものよりも明らかに劣っていることにより、社会生活への適応に支障がある状態をいいます。

■協調運動とは、両手、手と目、手と足などを同時に使う運動のことです。物を掴む、ハサミを使う、字を書く、自転車に乗る、スポーツに参加するなどで、特別な反復をしなくても得られる程度の運動のことです。

この症状により、学校や仕事での困難があったり、周囲との比較による劣等感、自尊心の低さがあり、情緒的な支援が必要になります。

発達性協調運動障害は、小学生段階で5%ほどの有病率があるといわれています。また男児の方が女児の2〜7倍ほど多いされています。

DSM−Ⅴによる診断基準

アメリカ精神医学会が規定している診断基準であるDSM−Ⅴによると、以下の4つが考慮されます。

  • ①協調運動技能の獲得と遂行が劣っていることによる困難は不器用、運動技能の遂行における遅さと不正確さによって明らかになる。
  • ②運動技能の欠如は、生活年齢に相応しい日常生活活動を著明および持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前および就労後の活動、余暇および遊びに影響を受けている。
  • ③この症状の始まりは発達段階早期である。
  • ④この運動技能の欠如は、知的能力障害や視力障害によっては上手く説明されず、運動に影響を与えると神経疾患によるものではない。

■症状は、ハイハイや歩行の発現が遅かったり、上手にできなかったりすることがあります。また、箸やスプーンの使い方などが上手くできなかったりして分かるケースがあります。

■ここでいう神経疾患とは、筋ジストロフィー症や脳梗塞や脳損傷による運動機能障害のことです。

発達性協調運動障害の原因

原因は、環境要因、遺伝要因が考えられています。

環境要因としては、母親が妊娠時にアルコールを摂取していたり、低体重児や未熟児(早産児)として生まれたりした際に、多いと考えられています。

遺伝要因としては、視覚や均衡感覚など神経発達上の障害がある可能性があります。

発達性協調運動障害の支援

作業療法的な支援が施されます。パズルや積み木、細かい部品の仕分けなど、子どもが興味を持ち、継続できるようにゲーム性を持たせたり、遊びの中で協調運動の練習をするイメージです。

細かい協調運動ができるようになってきたら、ボール遊びやスポーツなど動作を大きくさせていきます。速い動きが必要な運動は難しいため、動作の大きさや運動の速さなど、スモールステップで計画的に支援していきます。

この作業療法に加えて、家庭と学校での支援も重要です。大きな運動、刃物や割れ物を扱う際は怪我をしないように注意しておきましょう。手元で上手に扱えずに物を落としたりすることも多いです。

また学習面でいえば、知識的には理解できていたとしても、書くことに時間がかかるために時間が足りなかったり、遅れてしまったりするので、周囲のペースに合わせづらい困難さがあります。

特に体育や図工などは課題が難しかったり、時間がかかったりするの、子ども、保護者、教員が連携して、合理的な配慮を考えましょう。