醜形恐怖症/身体醜形障害【公認心理師試験対策】

2021年2月26日

醜形恐怖症/身体醜形障害

アメリカ精神医学会が規定する診断基準『DSM−Ⅴ』では、醜形恐怖症と身体醜形障害は同義とされています(以下、醜形恐怖症と呼称する)。

醜形恐怖症は、外見として知覚される身体上の欠陥や欠点にとらわれていることで、多大な苦痛を生じたり、社会生活に支障がある状態を指します。

醜形恐怖症は、自己に対して意識が向きやすいとされる青年期に発症することが多いとされています。僅かながら女性に多いとされ、特に顔や頭といった目に入りやすい部分、女性でいえばスタイル、男性でいえば筋肉(骨格)などにとらわれやすいです。

醜形恐怖症では、他者から見た場合に、とらわれるほどでもないと思われる容姿であっても、本人はかなりの苦痛を感じていることがあります。例えば、目や鼻大きさや配置、しわやシミ、傷あとや肌の色など、細かい部分に対して嫌悪感を抱きます。

醜形恐怖症では、「とらわれ」を重要視して支援します。本人は、とらわれていることを自覚しておらず、他者からの評価を気にしています。頻繁に鏡を見たり、他者と比べたり、皮膚むしり、化粧や整形手術などが過度に行われます。これらは、脅迫的な行為で、追い詰められているかのように行為を呈します。

醜形恐怖症の診断

DSM−Ⅴ「精神疾患の分類と診断の手引」を引用

A.1つまたはそれ以上の知覚された身体上の外見の欠陥または欠点にとらわれているが、それは他人には認識できないか、できても些細なものに見える。

B.その障害の経過中のある時点で、その人は、外見上の心配に反応して、繰り返し行動(鏡による確認、皮膚むしりなど)、または精神的行為(他者との比較など)を行う。

C.その外見へのとらわれは、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D.その外見へのとらわれは、摂食障害診断基準を満たしている人の、肥満や体重に関する心配ではうまく説明されない。

筋肉に関する(筋肉醜形恐怖):その人は、自分の身体の造りが小さすぎる、または筋肉が不十分であるといった考えとらわれている。これは、しばしばあることだが、その人が身体の他の部分にとらわれている場合にも用いられる。

醜形恐怖症の治療

治療に、認知行動療法による心理療法や抗うつ薬による投薬療法が主に行われています。

認知行動療法では、自己評価が強迫となっていることを自覚したり、その行動を減退していく方向で治療されます。醜形恐怖症では、自分の欠陥や欠点と捉えている部分に対して、「汚い、宇宙人みたい、要らない」などの評価をします。そのため、外出することができなくなったり、うつ症状が出ることもあります。

うつ症状に対しては、抗うつ薬による治療も検討した上で、定期的な心理療法を行っていく必要があります。

公認心理師試験対策

醜形恐怖症は、うつ病や社交不安障害、アルコールや薬物乱用、強迫性障害、摂食障害とも関連があるされています。これらが併有されるケースが出題される可能性があるので注意しておきましょう。

摂食障害と似ていますが、その違いについても理解しておくとよいでしょう。

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