せん妄【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

せん妄とは、突如として現れる精神機能の異常状態のことです。錯乱、思考力・注意力の低下、見当識障害などが生じます。せん妄は、病気や障害の名称ではなく、精神機能に異常がある状態のことを指しています。

せん妄の発現は、高齢者に多いとされていますが、若い人でも発現することがあります。

せん妄の原因

せん妄は、病気の発症時や悪化時、抗コリン系の向精神薬やオピオイド薬などを服用している場合、脱水、感染症、腎不全、肝不全、認知症、脳梗塞、脳卒中、手術、入院、減薬や断薬のよる離脱、薬物乱用、アルコールなどが原因になります。

公認心理師として特に憶えておくべきなのは、投薬における発現です。向精神薬、オピオイド薬、ベンゾジアゼピン系薬、抗精神病薬、抑うつ薬などです。他の精神疾患などの治療を目的として処方され、服用する過程でせん妄が発現することがあります。

■第3回公認心理師試験では、甲状腺機能低下症の出題がありました。せん妄は、甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症によっても発現することがあるので、頭の片隅に置いておきましょう。

せん妄の症状

せん妄では、錯乱を主として思考力・注意力の低下、見当識障害などが生じます。

錯乱状態では、会話が難しくなります。会話の内容が理解ができない、話がまとまらない、話を聞くことができない、などがみられます。

見当識障害は、今いる場所や日時、知っているはずの人や物の名前などが思い出せなくなることです。

錯乱には興奮を伴う場合と、興奮を伴わない場合があります。若い人は興奮を伴うことが多いですが、高齢者は興奮を伴わないことが多く、せん妄か認知症か他の病気かが分かりづらいです。

公認心理師試験対策

せん妄は、高齢者に多いために認知症との鑑別が必要とされています。認知症は徐々に症状が重くなっていきますが、せん妄は急激に症状が変化します。

せん妄は、重篤な病気が原因になることがあり、せん妄になった高齢者は死が近いといえます。しかしながら、せん妄自体が死因になるということではありません。あくまで、他の病気によるものなので、引っかからないように注意です。

医学的には、せん妄があるということは、重い病気があるということが疑われるので、直ぐに原因となっている病気の治療が必要です。公認心理師として、せん妄を見つけることがあったら、直ちに医療に繋げましょう。