失語症(感覚性失語症と運動性失語症)【公認心理師試験対策】

2021年5月30日

失語症

失語症(Aphasia)は、言語の理解や表出における言語機能障害です。大脳皮質や大脳基底核の言語機能を司る部分が脳卒中や脳梗塞、脳外傷、脳出血などにより圧迫・損傷することが原因となっています。

関係する部分としては、側頭葉後上部(ウェルニッケ野)、頭頂葉下部、前頭葉後下部(ブローカ野)があります。

この圧迫・損傷部分によって病症が異なります。言語機能の違いに伴って、失語症は感覚性失語症運動性失語症の2つに大別されています。

感覚性失語症

感覚性失語症は、主に側頭葉後上部にあるウェルニッケ野が圧迫・損傷されることによって起こります。症状としては、言語の受容や認識が困難になります。聴覚、視覚、触覚による認識ができず、失読症(文字を認識すること、音読することが難しくなる)がみられることも多いです。

感覚性失語症は、受容性失語症、ウェルニッケ失語症流暢性失語症とも呼称されます。

■言語表出に関しては流暢に話せるが、言語を受け取ることに障害があるため、流暢性失語症と言われています。

単語の理解ができても、文脈を捉えられなかったり、単語が独立した形で会話として受け取れなかったりすることもあります。

運動性失語症

運動性失語症は、主に前頭葉後下部にあるブローカ野が圧迫・損傷されることによって起こります。症状としては、言語の発声や発語が困難になります。言葉が発せなくなったり、流暢に話せなくなったります。

失書症(文字を書くことが難しくなる)や失名詞(物の名称が出てこない)がみられることも多いです。

運動性失語症は、表出性失語症、ブローカ失語症、非流暢性失語症とも呼称されます。

■言語理解については通常どおりであるが、流暢に話せることができない障害であるため、非流暢性失語症と言われています。

診断方法

診断方法には、脳画像検査(CTやMRI)が主に行われます。心理検査として、SALA(Sophia Analysis of Language in Aphasia)やSTA(Syntactic Processing Test of Aphasia -Revised)が用いられています。

公認心理師として知っておくべきは、失語症は自身に自覚がないこと、原因不明として治療が放置されることがあるため、カウンセリングをしたり話を聞いたときに失語症の疑いを抱いたら、脳画像検査ができる病院に行くように促してください。

心理検査は障害を細かく理解するためのスクリーニングとして扱うのがよいと思います。例えば、社会生活において、どの程度の支援・介助が必要なのかを考える上で重要です。

失語症の治療

治療には、原因の治療や言語療法が考えられます。原因そのものを手術などで治療しても、失語症が残る場合もあります。そうした場合に、長い目でみたリハビリの意味で、言語療法が用いられます。