援助要請と援助要請スタイル【公認心理師試験対策】
援助要請
援助要請とは、問題解決を図る際、他者に支援や助けを求めることで、社会心理学の領域で発展してきた概念です。
援助要請は、海外の研究で、学習場面において、ある程度の自分の努力を前提とした援助要請を行う「自律型」と自分の努力をせずに援助要請を行う「過剰型」が考慮されてきました。
援助要請スタイル
その後、永井(2013)は「援助要請スタイル」として日本の援助要請の型について研究しました。その結果、①援助要請自立型、②援助要請過剰型、③援助要請回避型、の3つを見出しました。
①援助要請自立型は、ある程度の自分の努力をしたあとで、援助要請する型です。
自立型は、永井(2016)では、過剰型や回避型に比べて学校適応感が高いことがわかっています。
②援助要請過剰型は、自分の努力がほとんどない状況で援助要請をする型です。
過剰型は、他者に承認や安心を求める再確認傾向があるとされています。
③援助要請回避型は、困難な状況でも援助要請をほとんど行わない型です。
回避型は、援助要請に関するリスクが影響していると示唆されています。
援助要請の利益とコスト
援助要請を行うにあたって、ポジティブな予期である「援助要請の利益」とネガティブな予期である「援助要請のコスト」も考慮する必要があります。
援助要請の利益とは、援助要請を行うことで「問題が解決するだろう」とか「分からないことが分かるようになるだろう」といったことです。
援助要請のコストとは、援助要請を行うことで「自分の秘密が漏洩するのではないだろうか」とか「否定されてしまうのではないだろうか」とか「相手の迷惑になってしまうのではないだろうか」といったことです。
参考引用文献
- 永井暁行(2016)大学生の友人関係における援助要請及びソーシャル・サポートと学校適応の関連 教育心理学研究, 64, 199-211.
- 永井 智(2013)援助要請スタイル尺度の作成―縦断調査による実際の援助要請行動との関連から 教育心理学研究, 61, 44-55.
- 永井 智・新井邦二郎(2007)利益とコストの予期が中学生における友人への相談行動に与える影響の検討 教育心理学研究, 55, 197-207.