傍観者効果、キティ・ジェノヴィーズ事件、いじめの傍観者【公認心理師試験対策】
傍観者効果
傍観者効果(Bystander effect)は、集団場面において周りの人が動くことを期待して、社会的に望まれた行動を起こすことができなくなる現象のことです。
傍観者効果の要因は、①緊急性を把握しづらいこと、②同調により責任が分散されること、③他者からの評価を恐れること、があります。
キティ・ジェノヴィーズ殺人事件
傍観者効果を説明する際に、例として最もよく使用される事件があります。それは『キティ・ジェノヴィーズ殺人事件』です。
1964年3月13日。ニューヨーク州に住むキャスリーン・ジェノヴィーズ(女性)は、仕事からの帰宅途中にウィンストン・モーズリー(男性)に襲われてしまいます。
ジェノヴィーズは、大声で助けを求めました。大声に反応したアパートの住人らが窓から現場を目撃しています。中にはモーズリーに対して女性を離せと叫んだ人もいます。目撃者は38人もいたと言われています。
ここで社会的に望まれる反応は、警察に通報することでしたが、誰も警察に連絡していませんでした。結局、ジェノヴィーズは亡くなってしまいます。警察に通報することで彼女が助かっていたかは分かりませんが、38人もいて、誰も通報していなかったのは、異様な事実でした。
その後、モーズリー逮捕され、警察は目撃者から話を聞きます。目撃者は「誰かが通報しているはず」といい、傍観するだけとなってしまったのでした。
いじめの傍観者
日本の傍観者研究では、『いじめ』を社会学の立場から考察したものがあります。森田(1985)は、中学校で発生する「いじめ」の成員を①加害者、②被害者、③観衆、④傍観者の4つに分類しています。
③観衆は、いじめが発生している場面において、実際に加害を加えないものの「からかい」や「加害を支持する」ような立場にある者を指します。
④傍観者は、いじめの加害者や観衆のように、いじめには関わりたくないという立場でありながらも、いじめ行為を止めたり、教師に助けを求めるようなことをしない者を指します。
石田・中村(2002)では、この4つの分類に加えて、⑤解決者を加えて心理的特徴を検討しています。
⑤解決者は、いじめの解決に向けて働きかけた者を指します。方法までは記述がありませんが、おそらく教師に報告するなどの働きかけだと思います。
参考引用文献
- 森田洋司(1985)『いじめ』―その考察と対策―(1)最近のいじめにみられる特徴 中学教育,4月号,70-78.
- 石田靖彦・中村友一(2001)中学生のいじめ体験に関する研究(2):「加害者」「被害者」「観衆」「傍観者」「解決者」の心理的特徴について 日本教育心理学会総会発表論文集,44,168.