抜毛症【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

抜毛症

抜毛症は、自ら頭髪や体毛を抜くことで、多くの時間を費やし、心理的な苦痛や社会生活に支障がある状態を指します。抜毛症は、強迫性障害の一つだと考えられています。

抜毛症には、抜毛の感覚を求める「焦点化型」とほぼ無意識に抜毛行動をとる「自動化型」があるとされています。また抜毛行動の様式としては、ストレスを回避するために行われる「情動回避型」と刺激や快感を求める「刺激探求型」があるとされています。

抜毛症は、長期化することが多く、若い人でも頭がハゲてしまったりもします。抜毛症は、女性に多く、特にストレスを抱えやすい人に多いです。

自己評価が低く、ストレスを発散する方法を持たない人が、その方法として抜毛行動に至ったり、自分に対する苦痛を抜毛行動による刺激で表現しているなどの指摘があります。

■美容を意識する抜毛行動は、抜毛症の症状としては含まれていません。それが醜形恐怖症による場合は、醜形恐怖症の一症状として考えられるため、抜毛症とは別に扱われます。

抜毛症の診断

アメリカ精神医学会が規定する診断基準「DSM−Ⅴ」では、以下の基準が示されています。

  • 繰り返し体毛を抜き、その結果体毛を喪失する。
  • 体毛を抜くことを減らす、またはやめようと繰り返し試みる。
  • 体毛を抜くことで、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
  • 体毛を抜くこと、または脱毛は、他の医学的疾患に起因するものではない。
  • 体毛を抜くことは、他の精神疾患の症状によって上手く説明できない。

抜毛症の治療

抜毛症の治療は、認知行動療法や投薬療法で行われています。子どもに対しては、背景にあるストレスを緩和する方法として、箱庭療法や遊戯療法が選択されている場合もあります。

特に子どもは、環境的にもストレスを発散する手段を持たない場合も多く、それが脅迫行動に現れることが多いです。抑うつ状態にある場合は、抗うつ薬が用いられます。

認知行動療法では、自分に対する罰を減少させたり、刺激を感じる方法を、より適切なものに置き換えるような実践で有効性が示されています。

公認心理師試験対策

第3回公認心理師試験では、臨床心理の領域で難しい出題が多かったように感じました。まだ出題されていない心因性の障害ということで、「抜毛症」を取り上げたわけですが、同時に「醜形恐怖症」や「強迫性障害」の理解もしておくとよいでしょう。また、抜毛症と似た障害で、「皮膚むしり症」もあります。重ねて学習してみてください。