ヴィゴツキーの内言と外言、発達の最近接領域、言語発達理論【公認心理師試験対策】

2021年2月26日

ヴィゴツキー(Vygotsky,L.S.)は、内言と外言、言語発達理論、発達の最近接領域の理論を提唱しています。

内言と外言

外言というのは、一般的に言われるコミュニケーションで使われる言葉のことです。一方、内言は人が何かを思考するときに、外には出ないが、頭の中で想像するときに使う言葉のことです。「ああでもない、こうでもない」と頭の中で呟きますよね。これが内言です。

ピアジェは、人の言語発達する上で、内言が発達して、それが外に出る形で外言が発達すると考えました。【ピアジェ:内言→外言】

一方、ヴィゴツキーは、外言が先に発達して、それが内在化されることで内言が発達すると考えました。【ヴィゴツキー:外言→内言】

※この論争のあと、ピアジェはヴィゴツキーの考えを支持しています。

発達の最近接領域

人は発達する上で他者の支援が必要になることが多いです。例えば、幼稚園児は幼稚園の先生や保護者の手助けがあって、成長や発達が支えられます。

発達の最近接領域とは、「ちょうどいい距離感」と捉えてもらえると分かりやすいです。一人でできる範囲と助けがあればできる範囲ああります。

よく家を建てるときに例えられます。家を建てるとき、家が自立するまでは足場が組まれて、土台から建てられていきます。家が自立すると足場は取り払われます。

つまり、最近接領域とは、子どもを育てるときも同様で、自立するまでは、手助けをしますが、ある程度の自立が見られたら、適切に支援を外していくと良いという理論です。

子どもは、手とり足取りの支援が必要ですが、中学生、高校生、大学生と年齢が上がるごとに支援の頻度や程度は少なくしていくのが、適切であるということです。

言語発達理論

ヴィゴツキーは、言語発達を4段階で考えました。

▽第1段階 原始的(自然的)段階:0〜2歳

言語と思考が繋がる時期で、感情の表現、不満と満足の表現、声や容姿への反応、の3つの非知的発話機能が示されます。

▽第2段階 素朴理論の段階:2歳〜

この段階では、言語が象徴として機能することが分かります。また、使用する単語が爆発的に増えます。文法構造への理解が進みますが、本質は理解していません。多くは日常生活から得た素朴理論でコミュニケーションを取ろうとします。

▽第3段階 自己中心的発話段階:7歳頃

これまでコミュニケーションの手段として使用してきた言語が、思考の手段としても使われるようになります。

▽第4段階 内言化段階:7歳以降

自己中心的発話は減少し、内言によって思考し始め、しだいに内言と外言の両方を使用し、概念的な思考や問題解決に向けた思考ができるようになります。