【保護者向け】勉強が苦手な子どもの特徴【授業についていけない編】

2020年12月12日

勉強が苦手な子どもの特徴の1つとして、「授業についていけない」ということがあります。今回は、子どもが学校の授業についていけなくなる理由と授業についていけないタイミングについて、お話したいと思います。

授業についていけない理由【背景知識の重要さ】

学習心理学において、記憶や学習を促進するものとして「背景知識」があります。背景知識は、その事柄について、既に知っている周辺の情報のことです。

例えば、小学校の算数で三角形の面積を勉強したとします。三角形の面積の求め方は、「底辺✕高さ÷2」ですが、これを解くためには、かけ算わり算の計算、底辺とは何か、四角形の半分だから2で割る必要があるなどの背景知識が必要です。

また、子どもが何か新しいことを学ぶときに、背景知識があることで、知識やスキルの習得が早くなります。

例えば、社会で大正時代を学んだとします。大正時代といえば、アニメ「鬼滅の刃」の物語が展開している時代です。この一言を教員が添えるだけで、子どもは「大正時代=鬼滅の刃」と知識を習得できるわけです。ここから別のアニメで時代を繋げて説明すれば、さらに子どもは記憶しやすくなっていきます。

よく読書をする子は、頭がいいと聞きます。これには、活字に強い、想像力が高い、などの色々な要素があると思いますが、僕が一番大きいと思うのは背景知識です。読書をすることで、初めて知ることが沢山あります。

ここまででは、「点」の状態ですが、沢山の知識を学ぶことで、点と点が繋がっていき、「線」になります。複雑に線が増えることで、次第に「蜘蛛の糸」のように知識が結びつき始めます。

学習心理学では、この構造のことを活性化拡散ネットワーク構造と言います。

活性化拡散ネットワーク構造では、ある一点に刺激が伝わると、他の繋がっている箇所にも刺激が伝わって、脳が活性化します。

例えば、「馬に似ている生き物は?」と聞かれた際、脳ではこれまで知り得た知識の中から4足歩行の生き物などが瞬時に思い出されます。牛や鹿など見た目特徴からして、近いものは思い出されやすいです。一方、4足歩行でも、あまり触れてこなかったカモシカや見た目が似ていないゾウなどは、思い出されるのに時間がかかります。

しかしながら、記憶の仕方は人それぞれなので、キリンが馬に似ている記憶している場合は、早くキリンが思い出されることもあります。

ついていけなくなるタイミング

よく先生は「基礎が大切だよ」と言います。基礎というのは背景知識も含みます。中学校の数学でいえば、1年生の問題が解けなければ、3年生の問題でも苦労します。歴史でいえば、時代の流れが分かっていないと記憶しづらいです。

こうした基礎や背景知識が大切なのは、言うまでもないのですが、子どもにはいくつか躓くタイミングがあります。小学生の算数でいえば、九九や分数などです。

小学生の授業は、大人数に対して講義的な授業をすることが多いです。今は、アクティブラーニングという方法も展開されていますが、実践はなかなか難しいです。

講義的な授業でもアクティブラーニング的な授業でも、小学生は45分という時間の中で、先生の説明を理解しないといけません。その中で1人、理解できない子がいたとしましょう。

分からなかったといっても、まだ質問したりすることが習慣化されていませんから、ここで躓きが起こります。躓きを解消しようと丁寧に指導する先生もいますが、やはり授業スピードを落とすわけにもいかず、取りこぼしてしまう子もいます。

躓いてしまった子は、忘れ物をしたまま、次の学習に移ることになるので、少しずつ困難が増していきます。

小学生で塾に通うことはとても有効です。なるべく個別指導をしてくれる塾であれば、学校で取りこぼした学習を再び学ぶことができるからです。

小学生で取りこぼしが多いのには理由があります。背景知識が少ないこと、理解力が発達していないこと、集中力が持たないことなどです。どれだけ先生が必死に丁寧な授業を心がけても、こうした発達には個人差があるので、取りこぼしてしまう子は出てしまいます。

中学生になると、人間関係の複雑化など、勉強以外に注意が向くことも増えます。また、身体的・生理的な発達によって、必要な睡眠時間が増えてきます。身体がポカポカと眠くなるのは、子どもが夜更ししなくても起こりうることです。こうして授業中に集中力が途切れることもあります。

集中力が途切れているときに、大事な部分の説明が終わってしまった。ということは、よくあることです。中学生でも、このように取りこぼしが起こります。そして、中学生でのちょっとした遅れは、かなりの致命傷になります。

取りこぼしを防ぐには毎日の復習が大切

中学1年生などで、取りこぼしが起こった場合、子どもは受験の大変さをあまり理解していないために、復習をしようとは、なかなか思いません。

ですから、大人が気づいてあげることが大切です。別に塾や家庭教師を検討しなくてもいいです。保護者方の方も、中学や高校で勉強してきたわけですから、問題集の答えを見ながら、教えてあげることはできるはずです。

まずは、取りこぼしがないかを確認してあげてください。取りこぼしがある場合、そこを中心的に教えてあげてください。

特に、取りこぼしが致命傷になるのは、数学と英語です。積み重ねが重要ですから、ちょっとした取りこぼしが受験の成否を左右します。もし、子どもに進学先の可能性を広く準備させてあげたい場合は、毎日の復習を大切にしてください。

毎日、取りこぼし確認と補習をしますが、時間にすると毎日15分ほどです。これが2日に1回だと30分になります。ただ、日が空くのは、記憶の仕方としては、よくありません。

学習心理学では、忘却曲線の理論で説明できます。大体、短期で憶えた記憶が忘れられるのは、6秒後からです。これが時間が空くほどに、憶え直しにかかる時間が増えてしまいます。また、日を跨いでしまうと、さらなる取りこぼしが生まれてしまい、意識が散漫になりますし、何を取りこぼしたか、見つけづらくなります。ですから、繰り返しの学習では12時間以上は空けないようにするといいと思います。

最後に

塾や家庭教師はお金がかかります。とはいえ、保護者の方が仕事で疲れて、家事もしながらとなると大変です。その意味では、子どもの教育に課金して、早期から取りこぼしの予防に力を入れるのは大いに効果的で合理的です。

個人的なおすすめは、小学生段階では公文式や個別指導塾です。中学生段階で、子ども自身に取りこぼしを解消する意識がある場合は、講義型の塾でもいいと思います。自分で取りこぼしを解消できない場合は、個別指導塾で丁寧に教えてもらうほうがいいです。大学進学を目指す高校生段階では、おおよそ自分の勉強スタイルができているので、子どもに合った学習方法でいいと思います。

中学生の家庭学習であれば、スタディサプリもおすすめです。勉強の習慣だけあれば、安く良い教材を準備するだけで、十分です。

▽こちらもご一読ください。

勉強が苦手な子どもの特徴【学習障害を疑ってみる編】

臨床心理学

Posted by Cozy