女子中学生の人間関係による不登校の一例

2021年2月9日

こんにちは。中津です。

今回は、女子中学生の不登校についてお話します。不登校の要因として、多いわけではありませんが、意外とあるので、紹介したいと思います。

女子中学生のスクールカースト

中学生の時期は、小学生の時期に比べて、自分に意識が向きやすくなり、それが劣等感という感情で表れます。学校での人間関係について、教育心理学においては、スクールカーストという概念で説明されています。

スクールカーストでは、いわゆる勉強や部活動、恋愛などで人気のあるキラキラした生徒がピラミッドの頂点に位置されています。一方、控えめで大人しい生徒は、ピラミッドの下の方に位置されます。

男子生徒はスクールカーストについて、あまり意識していなかったり、あまり集団で動いたりしなかったりしますが、女子生徒はこれらの人間関係について意識が強い傾向があります。

スクールカーストの上位集団に属していることがステータスのようになっている生徒もいます。とらわれ状態とでも言いましょうか、これが原因でグループから離れられなかったり、いじめに繋がったりするケースもあります。

控えめで大人しい生徒は、こうしたガツガツした環境に適応できず、距離を置こうとします。しかしながら、容姿が可愛らしかったり、勉強や部活動で人気のあるような生徒は、ガツガツした生徒のステータスとして利用されてしまいます。つまり、一緒にいれば自分の株が上がると思われて、巻き込まれてしまうのです。

恋愛でも同様のことが起こります。まだ恋愛というものがよく分かっていないのにもかかわらず、男子生徒から告白されて、付き合うことになったけど、不安定な恋愛ゆえに別れてしまい、心に大きな傷が残るというケースです。

本当は、自分らしくいたいのに、無理をさせられているような状況に陥ると、人間関係に疲れてしまいます。そうして「なんでこんな良い子が不登校に?」ということが起こります。

人間関係のいざこざは、よくあることで、支援が必要かと言われると、そうでもないような状況とも言えます。しかしながら、軽視ばかりしていられません。思春期の人間関係の困難は、今後の人間関係観に影響します。

例えば、人間不信、男性恐怖症などです。これらは、うつ病や統合失調症のような直接的な問題ではありませんが、人生を歩む上での困難に繋がります。

友達や恋人になりたいと、好意を持って近づいてくる人すらも拒否してしまい、孤立してしまうこともあります。どこに相談していいかも分からず、抱え込んだまま、大人になっていくケースもあります。

支援について

表面上は、人間関係で上手くやっているように見えるため、予防することは難しいかもしれません。本人に困り感があって、担任が相談を受けた場合に、スクールカウンセラーに繋がれることがあります。

とはいえ、担任もカウンセラーも、人間関係の調整まで手を加えることは難しいです。できるとすれば、道徳教育の一貫として心理教育を実施することくらいです。

柵(しがらみ)は、柵(さく)と書くように、囲われてしまうと出ることが難しいです。この人間関係の柵を少しでも自由に行き来できるように、生徒に響くような話をする必要があります。正直、難しいです……

また、不登校になるというのは、その後が大変ですが、生徒からすると逃げたくなるくらい負担だったということでもあり、合理的な逃避として、間違いではありません。一息置くことによって、人間関係をリセットして、再登校した際に人間関係を再構築することができるかもしれません。

不登校になったという部分に対して情緒的支援をしながら、学習支援を継続していけば、自然に心の負担はなくなっていくことでしょう。また、カウンセリングによって、人間関係観の偏りを緩和することができれば、今後の人間関係への影響も小さくなると考えられます。深刻な事態ではないにしろ、カウンセリングには効果が期待できますので、試してもらっていいと思います。

最後に

控えめで繊細で大人しいような子を持つ保護者さんは、相談したいことをいつでも相談できるように、民間のカウンセリングルームなどを紹介しておくとよいかもしれません。親にも言いづらいことはありますし、カウンセリングに行くほどでもないだろうと、抱え込んでしまうこともありますので、注意が必要です。

中学生は、身体は大きくなってきますが、心の発達は未熟です。大人の目線で見ていると、予想外のことが起こりえます。あまり細かく考えすぎる必要はありませんが、しんどくなったら、逃げてもいいんだよと安心させてあげてください。

不登校,臨床心理学

Posted by Cozy