【場面緘黙症】学校教員におすすめの支援方法をご提案します。

2021年5月6日

学校教員の皆さま、担任や授業を担当する学級で「人前で声が出せない子ども」はいませんか?

これは、『場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)』という情緒障害(不安症群)の一種です。特定の場面において不安や恐怖を感じ、声が出なくなってしまいます。また、緘動(かんどう)という身体がガチッと動かなくなるという症状もみられる場合があります。

場面緘黙症を詳しく知りたい方へ

(↑)の記事では、場面緘黙症を詳しく解説しています。治療方法や保護者の方が行う支援方法についても記述しています。ぜひ、参考までにご一読ください。

学校現場における場面緘黙症の支援方法

場面緘黙症の子の多くは、家では話せるけど、学校や塾といった場所、もしくは慣れていない人と、では話すことができなくなります。

例えば、学校での発表、音読、話し合い、雑談など、諸々が困難です。話せるようになってもらおうと話すことを強要される方もいますが、実はNG行為です。

場面緘黙症の症状だけを客観的にみれば、「甘えさせてはいけない」とか「不安と闘わせなくちゃいけない」など、教育者としての価値観でつい話をさせようとしてしまいます。

ですが、この強要により、話すことだけでなく、学校に来ることすら嫌になってしまって、不登校になったり、最悪は精神疾患を発症するケースもあります。

実際にSNSで「裏垢」や「病み垢」と呼ばれる匿名アカウントを作って、苦しい現状を投稿している当事者や保護者の方がいます。

学校の先生方は「学校」という公共の教育機関で勤務しているわけですので、障害など生活に困難がある利用者(子どもたち)に対しては、可能な限りで『合理的配慮』を施す義務があります。

では、学校としては、どのように支援すればよいのでしょうか。

①子どもの例外探し

初めに、その場面緘黙症の子が、どこで話せないのか、逆にどこで話せるのか、意思表示はどのようにできるのかを考えてみてください。

場面緘黙症の方でも、親友レベルの友達とだけであれば話せる、相手が一人なら話せる、大人となら話せる、といったように少しずつ様相が異なります。

まずは、そういった例外探しをして、子どもの状態を調べてみてください。そうすることで、支援がしやすくなります。

例えば、話し合いのときは、話せる子と組ませてあげたり、人数を少なく分けてあげたり、頷きや首振りによる意思表示や筆談をすすめてあげたりすることができます。

②交換日記

これは、担任の先生には、ぜひお願いしたい支援方法です。交換日記をすることで、場面緘黙症の子は、いつでも相談できる環境が整います。

場面緘黙症の子は、話せないためにイジメや嫌がらせの対象になってしまうことが多いです。これについても、防止することができます。

交換日記をすると、初めは不安があり、なかなか交換に至らないかもしれません。保護者の方と連携して、交換日記の反応を聞いてもいいと思います。慣れてきて、交換日記が継続できるようになると、先生に対して安心感が生まれてきます。それでも、なかなか話すまではいきませんが、心の内を打ち明けてくれるようになってきます。ここまでくると、かなり信頼が得られていることでしょう。

場面緘黙症の子の多くは、場面に慣れてきても「今更、話せるようになっても、驚かれたりするのがこわい」と、これまで話せなかったことを知っている人たちの前では、なかなか話せるようにはなりません。

ただ、小中高のときの支援によって、社会性が向上したり、あらゆる場面に対しての対応、慣れを学習することができ、進学や就職などの環境の変化とともに話せるようになるケースが多いです。

ですから、短期で話せるように支援するのではなく、長期的にみて、不安と向かい合う方法を学ばせてあげるのが良い支援と言えます。

③スクールカウンセラーとの連携

場面緘黙症の子は、話すことができません。でも、その症状によって多くの悩みを抱えています。例えば、友達がほしい、普通に過ごしたい、勉強や運動を頑張りたい、といった悩みです。

我々からすると、些細な悩みに聞こえるかもしれませんが、本人にとっては深い悩みです。勉強にしても、分からない問題があっても質問できない、塾にも通えない、こうした悩みがあります。

担任や教科担当の先生の支援で、十分に支援できればいいのですが、場面緘黙症の子に対する支援者は多いに越したことはありません。例えば、場面緘黙症の子にとっても、「話しやすい大人」があるわけで、スクールカウンセラーという心の専門家は、話しかけやすい人が多かったり、接し方も上手です。

その意味で、スクールカウンセラーを紹介してあげてください。一人では行きづらいと思うので、一緒に連れて行ってあげるといいです。もし、スクールカウンセラーと会話できるようになったら、関係づくりのコツなどを教えてもらうといいと思います。

④クラスの雰囲気をつくる

これは、先生の力量が問われる支援方法ですが、上手くいけば、先生が支援するよりも効果的です。

学級に一人は凄く優しくて、背中を押せば動いてくれる子っていませんか?もし、そういう子がいる場合、場面緘黙症の子の支援を単発でお願いしてみてください。真面目な子は、わからないなりに、何とかしようとしてくれると思います。

これを周りの子が見ていると、接し方が何となくわかってきて、授業の途中で困ったときなど、子ども同士で助け合う雰囲気がつくり出されます。

ここで、もう一つ大切なことがあります。人は親切を一方的に受けた場合、罪悪感のような嫌悪感のような感情を抱き、自尊心が低下するという報告があります。

つまり、場面緘黙症の子は、支援を受けるばかりになってしまうので、その点においても考慮してあげる必要があります。

例えば、場面緘黙症の子と、感謝の伝え方を一緒に考えるなどです。場面緘黙症の子は、学校を卒業したあとも他者の支援を受けて生きていくことになります。

ですから、支援の受け止め方といいますか、支援してくれた人に「いつもありがとうございます」と手紙を渡したりするだけでも、支援する側はほっこりするわけです。

本人は求めていないかもしれませんが、このような「支援受け上手」になることは、社会で生きていく上で、重要なスキルになることもあるのです。

最後に

いかがでしたでしょうか?

以上が僕の提案になります。もし、使えそうだなと思っていただけたら、実践してみてください。

この記事を読んでくださる先生は、子どものために勉強しようとしている先生だと思いますので、今後もお話をお聞きしたいです。ぜひ、問い合わせからメールを送ってくださると嬉しいです。

それでは、今回はここまでです。

このブログは、毎日更新で頑張っています。今後もぜひよろしくお願いします。また、心理学で知りたいことがあれば教えてください。また記事にして発信したいとおもいます!