【中学生の不登校】「高校受験が迫っているのに勉強しません」の3つの理由
今回は、不登校状態の中学生の保護者の方に向けて、記事を書かせていただきます。主訴は「子どもが高校受験を控えているのに、全然勉強しません。どうしたらいいでしょうか?」というものです。これに回答する形で記事を書き進めていきます。
(不登校の)子どもが勉強しません。
はじめに申し上げておきたいのは、これは非常に多いケースだということです。僕の感覚では、不登校になって半年くらいは80%以上のお子さんが、勉強に意欲を向けられません。
そして、もう一つ。不登校でない中学生の場合でも、明確な目標がなかったり、勉強の価値を見いだせていない子は多く、同様に「勉強しない」状態になっています。まずは、「勉強しない」理由を3つお話します。
子どもが勉強しない理由
①明確な目標がない
子どもたちから、よくされる質問です。「なんで勉強しなきゃいけないの?」というものです。この記事を読んでいる保護者の方は、この質問に応えることができますか?僕は、上手に答えられないので、いつも自分の話をすることにしています。
僕は、小学生の時から学校の先生になりたかった。中学生になって、担任の先生に聞いたことがある。「どうしたら先生になれるの?」と。そこで、学校の先生になるためには、大学に行って「教員免許」というものを手に入れないといけないことがわかりました。さらに、「教員免許が取れる大学」に行くためには、「普通科のレベルが高い高校」に行くと有利になると聞きました。僕が、真剣に勉強し始めたのは、それからです。
何が言いたいかというと、目標さえ見つかってしまえば、勉強への意欲というか、勉強できないことの焦りのようなものが自然に出てくるということです。
当時の友達の様子です。目標がない友達Aと話していました。友達Aは言います。「おまえは目標があっていいよな。目標ってどう見つけるの?」と。僕は「弟や妹にご飯つくって食べさせてるんでしょ?相可高校なんて、いいんじゃない?」と提案しました。相可高校は地元で有名な食物調理科がある高校です。「それいいかもな」。Aは、全てを納得したわけではないようでしたが、とりあえずの目標ができたことで、勉強に力を入れ始めました。
中には、目標がなく、勉強していない友達もいました。中3になると、周りの雰囲気もあって、それなりに勉強するようになりますが、中学校の順位が出る実力テストで、上位にいた友達は、全員が目標をしっかり持っている友達ばかりでした。
②心が安定していない
よく考えてください。失恋したり親や友達とケンカしたりして、心が荒れている状態で勉強に集中できますか?これと同様に、不登校という状態と不登校に至った原因もあって、心が安定するには、凄く時間がかかります。問題が複雑であればあるほど、時間がかかるのです。
小学生や中学生の始めに不登校になっても、心が安定し出せば、何となく生きる希望のようなものが見え始めて、高校受験は頑張り切ることができるケースもあります。勿論、中には絶望感が強く、生きる希望を見いだせないままの子もいるでしょう。
③わからないことが多すぎる
不登校の子たちは、心を安定させようと、もがいている間は、なかなか勉強ができません。この間に学校では授業が進み、高校受験の問題は教科書の全ての範囲から出題されます。子ども自身、教科書の問題や定期テストなどで、高校受験の難易度をある程度は想像できます。
想像したときに、勉強するべきことが多すぎることに気づきます。既にネガティブになっている子たちですから、この現実を知ると、なかなか前向きに頑張りきろうとはなりません。もう、間に合わないだろうという、いわば、諦めの状態です。
勉強しない理由をまとめると
①明確な目標がない
②心が安定していない
③わからないことが多すぎる
目標がない中学生が多い中、不登校という心の不安定さ、いざ心が回復・整理できても、わからないことが多すぎて、現実に立ち向かうことができない。この要因が複雑に絡まって、勉強ができない状態にあるのです。
目標があり、目標達成への意欲を忘れずに、不登校で辛い思いをしながらも、家や塾、フリースクールのような場所で、しっかり勉強できる子もいます。かなり意志の強い子だと思います。しかし、どれだけ意志の強い子でも、心の状態が改善されるのに、それなりの時間はかかっていると思いますし、もしかすると、まだ心の状態が改善されていない状態で、自分に鞭打って、頑張ろうとしているのかもしれません。
どうすれば勉強できるのか
①〜③の要因を一つずつ解消してあげましょう。目標がない子は、心の安定が先だと思います。家でゆっくり休ませてあげたり、カウンセラーに相談させたり、フリースクールのような居場所を作ってあげたりして、心の支援に注力してあげてください。
その後、目標設定と学習支援に注力しましょう。子どもは親に小言を言われたくありません。保護者の方には、子どものシェルターのような役割でいてほしいと思います。学習支援は、子どもが勉強したいというタイミングで学習塾などを提案してあげてください。
最も難しいのは、目標設定です。好きなこと、やってみたいこと、を目標にするのがいいと思いますが、それも考えつかない場合は、とりあえず、「工業高校に行くと、○○のような仕事に就けるよ」などの情報を一緒に集めてあげましょう。親が情報を与えるというよりかは、共同作業で、一緒に探すという方が、互いにわかりやすいですし、目標設定が強固なものになると思います。
最後に
一人で悶々と考えるのは、かなり辛いです。同じ境遇の子どもたちが集まって、互いに刺激になって、協同で人生を歩んでいくみたいな、面白さを感じてほしいと思います。例にあげたように、友達との会話が刺激になって、目標できることもあります。僕自身も「教えるのが上手」「優しいから向いている」と言われて、先生を志す気持ちが強くなっていったのを憶えています。