【中学生の不登校】不登校は甘えなのか

2021年2月9日

今回は、SNSでよく見かける「不登校の自分は甘えているだけなんじゃないのか」という悩みにお答えするように記事を書いていきたいと思います。

不登校は甘えなのか

結論からいうと、「自分に対する甘えではありません。」なぜそう言えるのか、根拠をお話します。

「親への甘え」と「自分の考えの甘さ」に分けて考える

『不登校は甘えなのか』

この質問に使われる「甘え」というのは、「親に甘える」という意味の甘えではなく、「自分の考えが甘い」という意味で使われている場合が多いです。

親への甘え

まず、「親に甘える」という意味で甘えている不登校児は、一定数は存在します。これは、愛着障害という障害が影響していることがあります。例えば、幼少期に親が仕事で忙しくて家に一人ぼっちだったり、毎日のように祖父母に預けられていたり、事故や離婚で片親と離別していたり、そういった悲しい寂しい背景があることで、親に「愛されたい」「必要にされたい」といった想いが強くなりすぎてしまい、赤ちゃんのように親に甘えるような行動をとったり、親への依存があったりします。

これは、精神的な負担が及ぼす他者には理解し難い問題です。当事者である子ども自身も、悲しさや寂しさ闘っているために、自分の行動に違和感を抱くこともありません。中学生や高校生くらいの年齢になって、ようやく周り子たちとの違いを理解して、親離れが始まっていきます。日常的に愛情を注がれて育ってきた子たちは、自然に反抗期に入り、親との距離ができ始めます。中には、家族生活が円満で、良い意味で距離ができない家庭もあります。しかしながら、発達心理学の観点でいえば、反抗期があって、親に暴言を吐くくらいは、正常発達だとみなされます。

一方、愛情障害もしくは愛情障害傾向のある子たちは、比較的に心の発達が遅れています。それもそのはず、長い時間を悲しさや寂しさ闘うために費やしてきたわけですから、自分をみつめる時間が少なかったり、周りとは異なった偏りのある思考をしていたりするからです。

もう、おわかりかと思いますが、この背景にあるのは、ご家庭の事情です。子ども自身の考え甘さ悪いわけではありません。必死に自分を見失わないように頑張ってきたわけですから、むしろ、よくやったと褒めてあげるべきです。なかなか子どもの辛さを想像することができませんが、一人で涙したり、寂しさに心が破れそうになった時もあったことと思います。よく頑張りました。自分を責める必要はありません。

自分の考えの甘さ

これについても、結論は「甘えではない」と言っておきます。不登校の原因に挙げられる多くは、「学業不振」「(イジメ以外の)友人関係」「親子関係」です。

◆親子関係

親子関係については、先程の愛着障害も含まれます。また、親の過干渉、親子の共依存、毒親なども「親子関係」に含まれると考えていいでしょう。これらは専ら親に原因があります。しかし、勘違いしないでいただきたいのは、僕としては、親にもそこまでに至る背景があるので、親を責めるつもりはないということです。つまり、「親子関係による不登校」は、親の心の状態が子どもの不登校という形で、表出したに過ぎません。

このような不登校の支援では、家族療法や親機並行面接が行われることがあります。初めは、子どもの心にアプローチします。改善の兆しが見えない場合で、子どもから親のことが語られる場合は、今度は親へのカウンセリングが行われます。すると、親の心の状態が良くなるとともに不登校が解消されるというケースが結構あるのです。

◆学業不振

学業不振の不登校では、勉強への自信をなくしている子が多いです。逆に、勉強なんてできなくても何とかなると楽観的に考えている子は、成績が悪くても、学校に来ています。そして、学業不振の不登校では、成績が悪くない子でも、不登校になり得ます。高い目標を持っていて、学校内では十分な成績がついているのにもかかわらず、自信をなくしてしまって、不登校になるというケースです。

これは、子どもの特性に関係があって、完璧主義だったり、過剰に頑張り過ぎたりして、心のエネルギーを使い切ってしまうという特性を持つ子がいます。親や先生までも優等生だと思っていた子が、急に学校を拒否するようになるのです。

僕は、学業不振の不登校は、日本の学歴社会という特徴が招いていると考えています。勉強が苦手でも、別のジャンルで輝けばいいし、良い会社に入れそうになかったら、何か個人でビジネスをすればいいと思います。学校では教えてもらえないことがあれば、親や親の知り合いから教えてもらってもいいと思います。中学校は、勉強以外のことで学んで、しっかり将来に活かせばいいと思います。

学校という狭い空間で、勉強が一番!となってしまうと、しんどいと思う子も出てきます。無理しない程度で、自分の将来の生き方の基礎づくりと思って、生活してみてください。

◆友人関係

文部科学省の分類によると、ここには、イジメは含まれません。イジメ以外の友人関係というと、ケンカやイジメまで認識されないレベルのからかいや意地悪が含まれるかもしれません。

それってイジメじゃないの?と思った方もいると思いますが、おそらくイジメの有無があったかって、報道される時に教育委員会がイジメとは見なしていません。事実確認ができません。って話しているのを、見たことありませんか?

あんなかんじで、実はイジメだけど、イジメにちゃんとカウントされていないものも「(イジメ以外の)友人関係」に含まれていると思います。

友人関係の問題は、複雑です。悪口を言った言わない、嫌がらせをしたしてない、先生方も証拠がなくては、指導が難しいのです。近年では、ネットでのトラブルも増えています。

友人関係の問題による不登校は、甘えではないと思います。きっかけがどうあれ、解決し難い問題だからです。とはいえ、人間関係の失敗というのは、大人になっても、結構あります。学校で拒否できたからといって、それが解決ではありません。

互いに話し合って関係を再構築するのもよし、合わない人と無理に仲良くせず学校内だけの関係と割り切って生活するのもよし、です。でも、自分だけ不登校になってしまうのは、勿体ない気もします。勿論、責めているわけではなくて、相手が登校していて、自分が不登校になっては、悔しくないですか?その悔しさをバネにしてみてもいいのではないかとは、思います。

また、人間関係がストレスだと思うのであれば、今のうちに一人でできるビジネスを考えておいてもいいかもしれません。これも立派な生き方です。

不登校,臨床心理学

Posted by Cozy