【中学生の不登校】なぜ学校は再登校を促すのか
今回は、中学生の不登校をテーマに「なぜ学校は再登校を促すのか」という疑問にお答えしたいと思います。
中学生の不登校┃学校が再登校を促す理由
中学生が不登校になる理由には、学業、友人関係、家族関係が多いと言われています。友人関係が理由の場合、学校には「会いたくない人」がいるわけなので、学校には行きたくないと思うのが自然ですよね。
今は、フリースクールなどの学校の代わりになる子どもの居場所が増えてきています。しかしながら、学校側は可能な限り再登校をしてほしいと、家庭訪問をしたり、保健室登校を提案したりして、再登校を促します。これは、なぜなのでしょうか。
①生徒の進路を心配している
小学生の不登校はともかく、中学生の不登校は、その先の進路に大きく関わります。現行の成績評価システムでは、関心・意欲・態度・知識・技能などが評価されます。たとえ、定期テストだけ受けに行っていたとしても、評価できるのは知識の部分だけです。授業に出て、発表したり、質問したり、準備をしたり、課題をしたり、そういった一連の評価によって成績がつきます。また、成績というのは、各中学校が勝手に基準を変えたりすることができないので、教育のシステムが大きく変わらないことには、この評価の仕方は変わりません。
学校が再登校を促す一つの理由は、学校がこの評価の仕方をよく理解していて、不登校になって授業に出られないと、成績がつけられず、高校進学が危うくなることを心配しているからです。不登校の子どもやご家庭からすると、「放っておいてほしい」と思う方もいることでしょう。一方で、僕個人の意見ですが、全く再登校を促そうとしない学校は、子どもの将来のことを深く考えておらず、学校経営に問題がある学校だと思います。
まず、生徒が不登校になったら、心配するのが普通です。そこで再登校を一度も促そうとしないのは、不登校という事案に慣れてしまっていて、「どうせ、また再登校できないだろう」と思ってしまっている先生もいます。学校には不登校対応のマニュアルを作っているところもあります。これは、不登校支援に力を入れている証拠です。少なくとも、電話や家庭訪問をすることになっているはずです。これが全くないとすると、学校経営に問題があると言わざるを得ません。
②機能不全家族の可能性を考慮している
不登校の理由が明らかでない場合やご家庭が理由なく再登校を一貫して拒否する場合、学校は機能不全家族の可能性を考えます。機能不全家族とは、親のアルコール依存症やうつ病などの精神的な病気や発達障害が背景にあり、家族の機能が停止していることを指します。いわば、親が子どもを育てる意思が低く、子どものネグレクトや不登校に繋がるケースがあり、学校はそれを心配しているわけです。
「学校は家庭の問題に関わらない」と思われる方もいますが、近年の虐待件数の増加に伴い、国民すべてに虐待を見つけた際の通告義務が課せられました。学校もその流れを受けて、虐待の可能性がある場合は放ってはおけないのです。
③学校との繋がりを維持してほしい
不登校になると学校との繋がりを一切拒否してしまうご家庭があります。しかしながら、中学校は義務教育ですから、市区町村の下にある学校は、現状把握や情報収集をして、市区町村の教育委員会に報告しなければなりません。その報告が都道府県に伝わり、文部科学省に伝わります。このように学校は組織で動いているため、学校との繋がりが拒否されてしまうと困るわけです。
また、上述の①の理由にあったように、進路についても関わってきます。学校との繋がりがあると、進路指導が受けられたり、高校受験を申し込む際に調書を作成し、提出できたりと、高校との連携が取れるので、高校進学を考える上では、中学校と連携が取れる方が圧倒的にスムーズです。この意味でも、一度は再登校を促して、いつでも再登校しやすい環境を整えます。
再登校は強制ではない
学校としては、再登校を促すことで、生徒が戻って来てくれると最も嬉しいわけですが、再登校は強制ではありません。今は、フリースクールのような居場所が増えていて、心の支援や学習支援を担ってくれます。フリースクールは、学校との連携が取れやすくなっていて、フリースクールでの出席が学校に伝えられ、公教育における出席扱いにもなります。また、希望があれば、学校の学習進度に合わせて学習支援をしてくれる場合もあります。このように別の場所で生徒が頑張っているという情報が適宜に把握できるので、学校も安心なわけです。(とはいえ、学校での成績が高校入試では加味されるので、不利になってしまうのは、どうしようもありません。受験方法をよく理解し、合格しやすい方法で、合格を掴みとりましょう。)