アノミー理論(デュルケームとマートン)【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

アノミー理論

アノミー(Anomie)とは、広義に捉えれば「無秩序の状態」を指します。アノミー理論の始まりは、デュルケーム(Durkheim,E.)による「分業論(Division of Labour in Society)」であるとされています。その後、マートン(Merton,R.K.)によって再考されています。

デュルケームのアノミー理論

デュルケームは『分業論(Durkheim,1893)』の中で、分業する上で互いの利益が見込めない場合や社会的関係が良好に保持できない場合に無秩序状態に至ると言及しています。

その後、『自殺論(Durkheim,1897)』において「アノミー」を無秩序の状態として取り上げました。デュルケームは、自殺という病理的な行為は、人が持つ無限とも言える欲望が秩序を超え、統制不能となった場合に起こると考えたのです。

Keyword:デュルケーム、アノミー、分業論、自殺論、無限の欲望、社会的環境の統制

マートンのアノミー理論

マートンは、デュルケームのアノミー理論における「社会的統制」に着目し、社会的環境の統制を「文化構造」と「社会構造」の2視点から捉え、アプローチを考えました。

「文化構造」が指すのは、人の価値観や考えは文化による影響を受けるとした上で、ある一定の構造化が成されているということです。この意味で「文化的な目標」を示すことをアプローチの方法としてあげます。

「社会構造」が指すのは、法や制度などの社会構造のことです。こうした統制的な拘束力が小さいと不適応行動が起こりやすいです。この意味で「文化的な目標」と「制度的な方法」を組み合わせることが重要であると考えたわけです。

つまり、文化的な目標を持ちながらも制度的な方法を使うことができなければ犯罪行動が起こってしまうし、制度的な方法があっても文化的な目標がなければ犯罪行動を起こしてしまうということです。

Keyword:マートン、アノミー、文化構造、社会構造、文化的目的、制度的方法