Deci,E.L.のエンハンシング効果【公認心理師試験対策】

エンハンシング効果

エンハンシング(enhancing)効果は、外発的に刺激を与えてモチベーションを高めることです。少し詳しく説明すると、外発的動機づけによって内発的動機づけを引き起こさせる方法です。

Deci(1971)は、外発的動機づけである言語報酬が内発的動機づけを高めることを明らかにしています。この実験を始め、言語報酬には「大変よくできました」などの『褒める』言葉が使われています。

簡単に言えば、褒めることで内発的動機づけを高めるということです。かなりシンプルです。

実験では、叱責する群と褒める群、統制群を比較するようなものが多いです。褒めることで内発的動機づけが高まり、モチベーションが継続しやすいということが言えます。

内発的動機づけ

Deci,E.L.は、認知評価理論の中で自分の行動要因を自分の中に求める『内発的動機づけ』は、自己決定(Self-determination)と有能さ(Competence)が根底にあるとしています。

全ての人間は、この自己決定と有能さを欲求として持っており、この欲求を満たせる行動が実際の行動と一致した際に、内発的動機づけが高まった状態と言えるわけです。

楽しいから勉強を継続する。身体を動かすのが好きでより楽しい試合がしたいから部活動の練習を頑張る。こうした状態です。

アンダーマイニング効果

逆にアンダーマイニング効果もあります。アンダーマイニング効果は、外発的動機づけによって内発的動機づけが低減することです。

楽しいという理由で勉強を継続している子に対して、その結果だとお小遣いはこれだけと渡したり「前より点数が落ちたね」と評価的言語により外発的動機づけを行った場合に、元々あった内発的動機づけが低減します。

報酬や評価に気が向いてしまい、本来の「楽しいから続ける」というモチベーションが低下してしまいます。

大人に有りがちな現象かもしれません。好きなスポーツで学生時代に活躍した人がプロになって否が応でも周囲から外発的動機づけを受けて、スポーツに向かう気持ちが変わってくるようなことです。