Gray,J.A.の強化感受性理論【公認心理師試験対策】

強化感受性理論

強化感受性理論(Reinforcement Sensitivity Theory; RST)は、Gray,J.A.により提唱された。

強化感受性理論は、「罰の回避の感受性」と「報酬への接近への感受性」という2つの次元の個人差によって人間行動を記述する気質モデルである。

この気質の個人差は「行動抑制系 (Behavioral Inhibition System;BIS)」と「行動賦活系 (Behavioral Activation System;BAS) 」によって記述される。これによりBIS・BASモデルとも呼称されることもある。

■行動抑制系(BIS)は、特性不安と関連しており罰や不快感情を回避する上での感受性と言える。行動賦活系(BAS)は、衝動性と関連しており報酬や罰がないことを知るための感受性と言える。

強化感受性理論の背景にはEysenck,H.J.の理論がある。

Eysenck,H.J.は、人間行動を生物学的な視点から説明しようとし、神経症傾向(Neuroticism;N) と外向性 (Extraversion;E) という2次元で構成する生物社会モデルを提唱した。

後にEysenck,H.J.は、精神病的傾向 (Psychoticism;P) を追加し、3次元で構成されるPENモデルとしている。

Gray,J.A.は、このPENモデルを神経生理学的視点から修正を加える形で強化感受性理論を展開したのである。

強化感受性理論におけるBIS・BASモデルは、脳波や心拍といった生理学的指標とも相関関係が認められている。また、不安や抑うつ、強迫性障害、統合失調症、アルコール依存などの精神疾患とも関連が認められており、学術的に優良なモデルであると言える。

また、近年では尺度も作成されている。例えば、BIS/BAS Scales(Carver & White,1994)やSPSRQ(Torrubia,Ávila,Moltó,&Caseras,2001)がある。