【公認心理師試験対策】末梢起源説、中枢起源説、認知的評価理論、基本感情論

2021年2月26日

今回は、末梢起源説(James-Lange説)、中枢起源説(Cannon-Bard説)、認知的評価理論、基本感情論を中心にお話します。

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末梢起源説

末梢起源説は、James,W.の「悲しいから泣くのではない、泣くから悲しいのだ」という言葉が有名です。Jamesは、感情の発生や体験が身体の反応(内臓と骨格筋)から影響を受けていると仮定した末梢起源説を提唱しました。

これと、同時期にLange,C.G.は、Jamesと同様に身体の反応(血管と血液循環)から影響を受けるとする説を提唱していました。このことから、末梢起源説はジェームズ・ランゲ説とも言われています。

末梢起源説においては、この2人が有名ですが、Tomkins,S.も憶えておいてください。Tomkinsは、ジェームズ・ランゲ説の影響を受け、顔面フィードバック仮説を提唱しています。これは、顔面(表情)による感情表出は、他者に感情を伝えるだけでなく、同時に感覚のフィードバックを生起し、そのフィードバックによって感情が生み出されるのではないかという仮説です。

中枢起源説

中枢起源説は、末梢起源説(ジェームズ・ランゲ説)に批判する形で提唱されました。中枢起源説は、Cannon,W.とBard,P.の共同研究で提唱されたため、キャノン・バード説とも言われています。末梢起源説の「泣くから悲しい」とは逆に「悲しいから泣く」という方向性が示されました。

動物の脊椎の一部を切除した実験では、その動物が脊椎が切除され、身体反応が生起できない状態であるにもかかわらず、情動反応を示したことから、中枢起源説の「身体の反応が感情に影響を与える」という方向性を否定しました。

また、刺激の知覚と内臓の変化を検討した研究では、刺激の知覚→内臓の変化にかかる時間にラグがあることが明らかになり、Lange,C.の説についても否定しています。

認知的評価理論

認知的評価理論は、感情が生起する際には、出来事の認知が先にあり、その出来事の刺激が自分自身にどう影響があるのかを評価した上で、感情が生起されるという理論です。

認知的評価理論の有名な研究者は、複数人いるので、大まかに説明します。

Arnolod,M.B.

感情の生起を、自分自身にとって適切か不適切の二次元で捉えた前進的な理論です。「刺激の受容→意味の把握→感情の生起」の順で想定されています。適切であれば快感情を生起しやすく、不適切であれば不快感情を生起しやすいとされています。

Schachter,S. & Singer,J.

身体反応が生じた際、生理的状況と社会的状況の二要因から捉えられるとしています。「○○だから△△という身体反応が生じた」という身体反応に対する意味づけをすることで、感情が生起するとされています。この理論は二要因情動説と言われています。

Scherer,K.R.

感情生起の評価の対象に「関連性」「意味」「対処可能性」「規範的重要性」の4つをあげています。これらを評価する過程で感情が生起するという理論です。

Roseman,I.J.

感情生起の評価の対象に「新寄性」「状況」「動機」「可能性」「主体」「統制可能性」「問題の種類」の7つをあげています。これらに対する評価の組み合わせによって感情が生起するという理論です。

Smith,C.A. & Ellsworth,P.C.

出来事を評価する上で、「状況の望ましさ」「対処可能な努力量の予期」「主体と責任の所在」「状況を変えることができるか」「出来事に向けられる注意の程度」「結果の確実性」の6つを考慮します。

Lazarus,R.S.

感情生起する際に、出来事を2段階で評価します。「有害か有用か」「対処可能か不可能か」の3次元の構造になっています。

基本感情論

基本感情とは、喜び、悲しみ、怒りなどの時代の変化に影響されない、普遍的な感情のことです。これも代表的な3つの理論が展開されています。この3つの理論が未だに普遍的なものとして、支持されています。

Panksepp,J.

基本感情を7つあげています。「探索」「怒り」「恐怖」「要望」「世話」「悲痛」「遊び」です。

Plutchik,R

基本感情には8つの原型があり、その8つの基本感情には、それぞれより深い感情があるとしています。原型の感情を一次的感情といいます?また、この一次的感情✕深さで表されるピストルの弾丸のような形の模型を感情多次元模型といいます。ここでは、図示しませんが、ネット検索すると出てくると思いますので、見てみてください。印象に残りやすいと思います。8つの基本感情は、「歓喜」「愛慕」「恐怖」「驚愕」「悲嘆」「嫌忌」「激怒」「警戒」です。

Ekman,P.

基本感情を6つあげています。「幸福」「悲しみ」「怒り」「驚き」「嫌悪」「恐れ」です。また、基本感情とするための9つの判断基準をあげていますが、マニアックな部分なので、判断基準も掲げていたというくらいで憶えておいてください。

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