情報の信頼性を読み取れる人になろう【社会心理学】

こんにちは。中津です。今回は難しい話をします。興味のある方は、最後まで読んでみてください。難しいですが、かなり有益な情報だと思います。

情報の信頼性を読み取ろう

僕は、勉強のために心理学の研究論文をよく読みます。「読む」というのは、文字や文章を読んで理解するだけでなく、データから真実を読み取ったり、批判的な思考態度で論文に隠された問題を読み取ったり、研究者の研究の意図を深く読み取ったり、そのレベルの「読む」です。

情報社会である現在、ネットやメディアに情報が溢れています。この「読む力」は、情報社会を上手に生き抜くために重要なスキルだと思います。

例えば、健康情報です。テレビで健康に良いサプリメントを紹介していたりしますよね。人気のある俳優さんが、「毎日、飲んでいて、朝すっきり起きられます」と話していたら、疑いなく購入する人もいます。

これは、俳優さんの信頼度を利用した企業の思惑にまんまとハマっているわけです。なぜなら、企業が自社の商品のメリットを話すのは当然だからです。自信があります!というのは、嘘でも言えます。俳優さんも企業が用意した原稿どおりに読んでいるだけかもしれません。

このような批判的思考は、社会心理学ではクリティカル・シンキングと言われています。研究論文を読む上で、批判的に考えることは、研究をよく理解するために必要な手続きです。研究論文というのは、学会や企業などの研究組織で、査読され、世に出していいものかをしっかり検討された上で、発表されています。それぞれの分野で活躍する賢い人たちの成果です。

大学院生や大学教員、企業の研究職などが凄い時間と労力、費用をかけて創り上げる凄く価値のあるものです。しかし、実績があるからとか有名な人だからというのは、関係ありません。互いに批判し合うことで、研究は深みを増し、最終的に社会全体の役に立つのです。

テレビやメディアで、研究の結果が引用されることがありますが、あれは研究の結果のみを書き写しただけです。本来、論文はA4の紙、100ページで収まらないほどの情報量が集約されています。僕の修士論文がちょうどそれくらいでした。学会誌に掲載される論文は、もっと高度ですから、それ以上と考えられます。

つまり、テレビやメディアの情報は、もし正しかったとしても、表面的なものでしかないということです。勿論、「テレビで見たけど、○○らしいよ」という会話の範疇であれば、深く読み取る必要はないでしょう。また、経験をもとに話をする上でも、解釈は相手次第ですから、これも必要ありません。

とはいえ、支援職である場合は、どうでしょう。例えば、医療関係者が「テレビで見たので、この薬が効きますよ」とか「結果しか読んでないけど、○○先生の論文に書いてあった方法で治療しましょうね」と言ってきたら、貴方は安心して任せられますか?自分の健康に影響する場面で、とても慎重な判断が必要だからこそ、確かな信頼性を得たいわけです。

ネット情報の信頼性

僕も、記事を書いているので、わかるのですが、特に経験も実績も必要なく、記事は書けてしまいます。Googleで検索した時に上位に出てくる記事は、よく読まれている記事であることには間違いありません。しかし、記事の情報が正しいかどうかは、わかりません。

検索順位を上げるために、お金をかけて無理やり上位に表示させている記事もありますし、GoogleのAIが検索キーワードをよく使っているサイトを上位表示させたりしますから、情報の信頼性は疑わしいと言えます。

ただ、それなりに信頼性が高い記事でないと、読んでもらえないので、しっかり構成されていたり、中には病院の医師が研究論文を参考に、病気を説明するような信頼性の高い記事を書いている場合もあります。

サイトの情報性を見分けるには、サイトの運営者を見てみることです。会社が運営するサイトでは、複数人が運営している場合もあります。どこの誰が書いているかわからない記事は、たとえ正しかったとしても、不安があります。

逆に、発信する側になった時、実名があって、写真があって、経歴があったりすると、個人で記事に責任を持っているわけですから、情報の正しさが乏しい場合でも信頼性を精査しやすくなります。いわば、一つの経験話として受け入れやすくなります。それに情報の信頼性の高さが加われば、よく読まれる人気の記事になります。

信頼性の高い情報を見分ける

信頼性の高い情報は、基本的には、簡単な言葉では書かれていません。研究論文でいうと、専門家が専門家に対して説明するような難しい内容ばかりです。それを世間に伝わりやすいように話し言葉にして伝えるです。そうした場合、解釈の難しいデータのような部分は、綺麗に削ぎ落とされます。

ネットやメディアの情報の信頼性が高いか低いかを見分ける簡単な方法は、情報源を辿ることです。誰かの経験話であれば、誰の経験なのか、同じ経験をしている人はいないのか、根拠はどこにあるのか、など情報源そのものの信頼性を疑ってみて、1段階だけでも掘り下げると、信頼性の高低を見分けることができます。

抽象的な経験話であれば、1つの例として留めておいて、さらに他の情報を探るといいでしょう。同じ経験話が沢山得られたら、信頼性が高いということです。Amazonの商品レビューなんかがそうです。一人が高評価を出していても、「壊れやすい」というレビューが複数あると、買わないですよね。

これと同様に情報の取捨選択ができると、騙されたり、良くない選択をしたりすることが減ります。

ほしい情報に目が眩む

人は無意識にバイアスによって目が眩んでいます。詳しく説明すると、バイアスとは情報収集の邪魔になる自身の先入観です。これは、研究者に現れることがあります。

例えば、研究者は学会誌に論文を掲載させたいので、研究結果が上手く立証できることを期待しています。研究の段階で、その研究結果が得られやすいようにデータ採集をしてしまったり、読み取り方を盛ってしまったりします。勿論、レベルの高い研究者は、その点も考慮しています。

このように人は無意識に自分のほしい情報だけを集めようとしてしまいます。一方で、自分がほしくない情報からは目を背けようとしてしまいます。

このバイアスの存在を知っているだけで、貴方は今までより上手に情報収集ができるようになっています。自分の心を守るためのバイアスですが、自分にとって本当に必要な情報は、時に残酷なものであることもあるのです。そこに積極的にぶつかっていける人こそ、本当の成果を得ることができます。

最後に

正しい情報を得た上で、自分にとって有益なものを選択するぶんには、他者に迷惑をかけません。さすがに研究者や政治家のようなインフルエンサーがバイアスに目が眩んでいては、社会全体に影響を及ぼしかねないですが、情報は本来、自分の人生を豊かにするためにあります。自分の人生を豊かに幸せにするために、ぜひ情報を正しく得る目を養ってください。

今回はここまでです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

臨床心理学

Posted by Cozy