起立性調節障害とは【特徴、支援、改善と治療について】

2020年10月22日

こんにちは。フリースクール Cozy です。

今回は、皆さんにぜひ知っていただきたい、起立性調節障害について、お話させていただきます。

起立性調節障害の特徴

起立性調節障害とは、自律神経系の働きが鈍くなり、不調をきたす障害です。

主に立位や座位の状態で、血流の悪さによる立ちくらみ、気だるさがあります。

また、息切れ、動悸、睡眠障害、腹痛、食欲不振、頭痛、倦怠感といった症状も出現します。

起立性調節障害は、自律神経失調症の一種で、主に午前中に自律神経が上手く働きません。

この意味で、よく「朝に起き上がることが難しい」と表現されることがあります。

これは、サーカディアンリズム(身体が機能する上で、身につけている1日間隔のリズム)にズレがあることが要因であると考えられています。

しかしながら、就寝や起床のタイミングを変えるだけでは、改善は見込めません。

起立性調節障害は、小学生〜高校生に多いとも言われています。

起立性調節障害は、知名度が低い障害で、かつ見た目にわかりにくいこともあり、学校の教員や保護者から理解が得られず、「甘え」や「さぼり」と捉えられてしまうことがあります。

この支援の得られづらさにより、無理に頑張り、症状が悪化してしまうことも少なくありません。

小学校や中学校は、義務教育ですので、何とか卒業することができますが、高等学校はそう簡単ではありません。

通信制高校や定時制高校への進学が推奨されますが、本人の意志に合わない限りは、精神的な負荷がありますし、どちらにせよ午前中は不調に堪えなければなりません。

とにかく、負担を常に抱えて学生生活を送ることになってしまいます。

起立性調節障害への支援

起立性調節障害は、若い世代に多いとお話しましたが、20歳を超えても障害が続くこともあります。

また、学校に通えない、遅刻が多いことにより、将来の夢を諦めざるを得なかったという当事者の声もいただいております。

特に思春期は、ホルモンバランスが著しく不安定になることもあり、起立性調節障害という障害について何も知らない状態では、身体を動かせない自分に対して、否定的な感情を抱くなど、辛い学生生活を送ることになってしまいます。

支援としては、保護者、担任の先生、養護教諭などが早期に発見して、支援を施すことや医療に繋げることが大切です。

また、起立性調節障害は、不登校になりやすいと言われています。

学校との繋がりが当事者にとっては、凄く心強いものでありますので、その繋がりをできる限り、切らさないように支援していただければと思います。

診断については、小児科や心療内科などで行われます。

診断書を持ち、学校に協力を得ることができれば、夢を諦めずに卒業することも可能だと思います。

しかしながら、現状として、理解が得られることが少なく、高校や大学は単位制ですので、どうしても出席数が満たなくなり、単位が認定されないということが起こってしまいます。

体育や遠足など負担のある運動については、体調をよくみて、行うかどうか判断されるとよいです。

その点についても、もし配慮が必要であれば、主治医に一筆をお願いして、運動が難しいことを学校に伝えてください。

保健体育については、レポート課題に置き換えるなど、合理的な配慮が得られる場合があります。

一方で、教員は医療の専門家ではありませんし、組織的な体制を基本とする限り、すべての場合において配慮が得られるわけではありません。

その点に注意された上で、可能な限り入学の前に、どの程度の支援が得られるのか、問い合わせてみてください。

もし、それでも、支援が難しいとの返答だった場合は、子どもにとって良いと思われる別の環境を求めること合理的だと思います。

起立性調節障害の改善・治療

起立性調節障害は、個人差はありますが、おおよそ治る病気と言われています。

障害の特徴上、生活リズムが乱れてしまいますが、これが改善を遅らせたり、悪化させる要因になりえます。

〖改善①〗 ゆっくり動き出す

特に、横になっている状態から座ったり、立ったりする際に、低血圧を起こして、頭痛や立ちくらみに繋がってしまうので、身体を起こすときは、20〜30秒くらい、かなりゆっくりを意識して起き上がってください。

毎日のことなので、癖づけるといいと思います。

〖改善②〗 軽めの運動

血流を良くするために散歩やストレッチなどの運動してください。

あまり急に動くと頭痛や立ちくらみの要因になりますから、低負荷の運動を10〜20分で結構なので、ゆっくり行ってください。

また、学校や仕事を休んだときでも、可能な限り、外に出て運動をしてください。

家の中にずっといて、日光に当たらないと、睡眠に関わるメラトニンが分泌されにくくなったり、ビタミンが不足したりもします。

何よりメラトニンは、寝る時間になる頃に感情や気分を安定させるセロトニンという神経伝達物質に作り変えられます。

このセロトニンはうつ病にも関わっており、精神的な健康を維持するために大切役割があります。

〖改善③〗 食事と水分補給

食事の制限は特にありません。ただ、生活リズムを整えるためにも、朝、昼、晩の食事をしっかり摂りましょう。

食事をすることで、血糖値が上がり、身体が温まります。これが大切です。

水分補給については、身体を冷やさないために、なるべく常温がいいと思います。

また、塩分も補給したいので、水よりもスポーツドリンクを飲むといいと思います。

〖改善④〗 睡眠と休養

睡眠障害に陥ることが多くありますが、スマホやゲームを寝る前にして、脳が覚醒してしまうことによる睡眠障害も考えられます。

まずは、これを否定するために寝る前のスマホやゲームは我慢してみましょう。

そして、夏は、扇風機や冷房をつけっぱなしにしたりして、身体を冷やしてしまうと良くないので、熱中症にも気をつけながら、体温の調整をしてみてください。

冬は、寝る前にホットミルクを飲むなど、身体を温めることが有効です。また、湯冷めにも気をつけてください。

たくさん遊びたい気持ちもあると思いますが、まずは症状の改善を優先して、頑張った次の日はしっかり休むなど、積極的に休養してください。

〖治療〗 薬物療法と漢方

治療には、上記の予防をしながら、薬物療法や漢方による治療が推奨されています。

医師の指示に従ってください。

薬を飲み続けるのは、大変だと思いますが、急に減らしたり、飲まなくなったりすると、離脱症状が出て、症状が悪化することもあるので、薬の量についても自己判断せずに、医師と相談してください。

最後に【フリースクールとしての提案】

起立性調節障害は、心身共に負荷のある障害です。やりたいことができない気持ちにも焦点を当てながら、支援していただけると良いかと思います。

フリースクールとして、できることを考えてみます。フリースクールは、開校している時間であれば、いつ来室しても構いません。ですから、朝が動けなくても、昼頃から通うことができます。近年、学校はフリースクールと連携をとるように、文部科学省から通達があり、所属する学校の校長の判断で、出席扱いにすることもできるようになりました。

とはいえ、昼頃から出席したとして、時間が十分とは言えません。その場合、フリースクールの開校時間の終了後も、一時間だけ塾のような形で勉強をするなど、僕の運営するフリースクールは、個人でやっているので、そのへんの相談には乗ることができると思います。どうしても、社会に出ていくことを考えると、少しずつでも朝から動けるように段階的に練習していくことにも、協力していきたいと思います。勿論、個人差があるので、大人になってもなお、症状が重く、仕事ができない場合もあるのですが、その場合は、どのような仕事に就くのかについても、子ども本人と保護者様と相談して、考えて行きたいと思います。

この記事のように、少しでも多くの方に知っていただき、困っている方が適切な支援を受けられるようになればいいなと思っております。

今後も、SNSやブログなどを通して、啓発活動をしていきます。

最後まで、読んでいただき、ありがとうございました。

Cozy フリースクール&カウンセリング

臨床心理学

Posted by Cozy