【場面緘黙症】大人になったら治るって本当?

2021年7月9日

今回は、場面緘黙症の支援について「大人になったら治るって本当?」というテーマでお話させていただきます。

場面緘黙症は大人になったら治るのか?

結論からいうと微妙です。ただし、研究においては、大人になって普通に話せるようになる人は多いとされています。

では、なぜ僕が「微妙」と言ったのか。

それは、3つの理由があります。①治療方法が確立していない。②不安の感じやすさは先天的な脳の機能による場合がある。③不安から避けようとしすぎると改善できない。以上の理由です。

①治療方法が確立していない。

現時点で場面緘黙症を直接的に改善する薬はありません。投薬治療を受けている方は、おそらく精神安定の薬を処方されていたり、場面緘黙症を原因とした精神症状(うつ病や統合失調症など)を治療する薬が処方されているかと思います。しかしながら、これらは場面緘黙症を直接的に改善するものではありません。

場面緘黙症は、不安や恐怖によって一定の場面で話せなくなります。現時点では、脳の扁桃体という不安感情を司る部分の働きが過敏になっていることが要因だと考えられています。この特性と何かのきっかけ(精神的負担など)が組み合わさって発症すると言われています。

発症は幼児期に多いことから先天的な要因が強いのではないかと示唆されていますが、後天的に症状が現れる人もいます。その場合、話し方に自信がない、笑い方を馬鹿にされた、などのきっかけによることが多いようです。

臨床心理学においては、認知行動療法によって話すトレーニングを行うことで、改善を図ります。これは、話すコツなどを勉強したり、不安になる場面とあえて向き合ったりして、不安に慣れて心的な負担を軽減させる目的があります。

現時点では、ここまでが分かっています。しかしながら、これをすれば確実に治るという方法は確立していません。

②先天的な理由があるから

これも医学の話で僕の専門外なので半信半疑で聞いてください。場面緘黙症は、扁桃体の働きが影響していると言われています。もし、この先天的な要因が強いのであれば、心理学的にアプローチをしても、治療が難しいのではないかと思うのです。

細かくいうと、完治は難しいけど、改善はできるかもしれない。ということです。治すというよりは、自分の特性として上手く付き合っていくことが、重要かもしれません。

たとえ、大人になってそれなりに話せるようになっても、毎回のように頑張って何とか声を出すというのは長期的にみて苦しくなりませんか?

だったら、あまり人と話さなくてもできる仕事に就いたりするような工夫は必要になると思うのです。友達や家族とは話せるのであれば、無理に仕事のような不安を感じる場面は作らないようにするのも合理的な生き方だと思うのです。

③不安から逃げすぎては……

②で話したほど、先天的な理由が強すぎない場合で考えます。その場合、心理学的なアプローチでトレーニングを積む方法が有効になります。

ただし、この方法は心的な負担があります。不安に慣れるために、自分と対峙するわけですから。しかし、ここで「不安だからやめとこう」と避けてばかりいては、一向に前に進むことができません。とはいえ、無理をして精神的に落ちていくのも良くないです。

「今なら頑張れる」というタイミングで適切に挑戦していくことが好ましいと思います。時間が解決するわけではないです。改善した人に話を伺うと、接客のアルバイトをしたり、友達がほしいと努力したり、教員やカウンセラーに適切な支援を受けたりしている方が多いようです。

一人で頑張るのは、とても辛いと思うので、ぜひ支援を受けながら、自分にできる範囲で頑張ってみてください。絶対に良くならないということでもないので、貴方に適した何らかの方法はあるはずです。

最後に

まだまだ僕も勉強中です。的確な意見を出せないことを心苦しく思います。ですが、SNSや他のコミュニティで場面緘黙症の方や保護者、支援者の方と繋がっていて、学びが沢山あります。今後も学び続けて、適切な支援ができるように精進いたします。

この記事を読んでくださった方とも交流してみたいです。Twitter(@psycholocozy)もやっていますので、今後もよろしければ、気軽に絡んでいただければ幸いです。

では、今回はここまでです。最後まで読んでくださりありがとうございました!